働き方

働く女性に“あさが来る”理想の夫婦の在り方とは【瓦の目】

投稿日:2016年4月1日 / by

きょうから女性活躍推進法施行

きょうから女性活躍推進法が施行される。対象は労働者301人以上の大企業。内容は行動計画の策定などの義務づけなど。これだけをもって、目に見える効果は期待できそうにないが、働く女性に追い風になることは間違いない。折しも、NHKの朝の連続テレビ小説「あさが来た」がいよいよ大詰め。江戸時代後期に、働く女性として大活躍した女傑・白岡あさの物語が終焉を迎える。

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女性活躍の追い風が吹き付ける中でスタートした同番組は、完全に男性中心の社会情勢の中で、強烈な輝きを放った実在の人物をモデルにしていたというのだから驚きだ。なぜそんな時代にヒロインは、商売の世界で活躍できたのか。女性活躍を推進する現在にヒントなる要素はないのか…。実は、ヒントどころか、明確な答えが、毎回画面からビンビンと伝わってきた。

番組を視聴していた人には言うまでもないだろうが、夫である新次郎がその全てだ。あさは何事にも興味を持つポジティブの塊のような女性。こうした女性は実は決して少なくない。しかし、男性中心社会では、そんな無邪気さは悲しいかなどんどん抑え込まれていく。女性は女性らしく、という風潮が根強いのだから仕方がない。新次郎は、そうした暗黙のバリアをことごとくスルーし、あさのやりたいようにその背中を押し続けた。

江戸の後期にあさが大活躍できた理由

あさの大活躍を「ダンナの理解」、という一言では済ませられないのが、現代に活かすことを考えると少し残念なことではある。というのも、新次郎もあさも裕福な家庭に育っていることがまず前提にある。特に新次郎に至っては、懸命に仕事をしなくてもやっていける財力が生家にあった。仕事をバリバリこなしたあさにも女中がおり、出産後にしても業務に集中しやすい環境が整っていた。つまり、あさは、本人の行動力や強い意志はもちろんだが、働き続ける上で何の不安も抱くことがなかったのだ。

現代の働く女性にこの状況をすりあわせた時、どれだけのことがあてはめられるだろうか…。ダンナが働き続ける妻の背中を押すことは可能だろう。とはいえ、家事の問題があり、収入の問題がある。新次郎のように、セミリタイア状態で働く妻の背中を押し、それでいて、多様な趣味などを通じ、幅広い人脈を構築し、あさが直面する難題解決をサポートまでするとなると、極めて困難というのが現実だろう。一般的な共働きビジネスパーソンでは、残念ながら到底マネのしようがない。

だからといって、白岡夫妻をファンタジーと捉えるのは寂し過ぎる。少なくとも、男性が働く妻のことをしっかりと理解することは、可能なハズだ。その上で、働く妻がやりたいことをできる限り受けとめ、その成功をサポートする。そのために、家事が障害になるなら、しっかりと話し合い、妥協案を探ってみる。男性が一家の柱であるべき、という風潮はいまだ根強いが、実は女性がやった方がより以上の成果が期待できることもある--。そんな気付きを「あさが来た」は与えてくれた。一億総活躍社会の実現ではなく、労働者の最適化。それこそが、結果的に働く女性に“あさが来る”ための最善のアプローチといえるのではないだろうか。

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