働き方

17歳の女子高専生プログラマーがIT企業でバイトして感じたこと

投稿日:2016年4月20日 / by

なぜ、IT企業でバイトすることを決めたのか

就業体験は、就職を目指す学生にとって、貴重な社会経験だ。(株)スパイスライフに春休みを利用してアルバイトとして働いた山下紗苗さんは、高等専門学校の2年生。17歳の若さで、プログラマーとして、実戦修業を敢行した。その目的や将来などについて、聞いてみた。

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左から五十嵐氏、山下さん、吉川社長

私がIT企業でバイトする理由

創造性を重視する同社には、花粉症の社員がパフォーマンスを最大限発揮できるよう、花粉が飛散しない地域に“疎開”できる制度がある。この時期、オフィスから花粉症社員が疎開で席を空けるのと入れ替わるようにやってきたのが、女子高生プログラマーの山下さん。まさにフレッシュな風が、オフィスを吹き抜けるかのように初々しさが弾ける17歳だ。

「プログラミングを始めたのは高専に入ってからです。以前から興味あったのですが、機会がなく、実際にはじめてみるとのめりこみました。プログラミングサークルの先輩の助言などを受け、いまは実戦を経験するためにアルバイトというカタチで企業で勉強させていただいています」と山下さんは、高2にして、アルバイトで現場に潜り込む理由を説明する。

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抜群の集中力で業務に励む山下さん

高専2年の山下さんは、まだプログラミングをはじめて2年足らず。それでも同社では、主軸サービス「TMIX(https://tmix.jp/ )」の裏側の仕組みを任される。アルバイトにはかなりハードルの高い「結構な難題」だ。しかも、使用言語はRuby。学校の授業では学んでおらず、独学で習得したという。エンジニア陣をけん引する五十嵐邦明氏は、彼女の能力について「即戦力ですね。この年代の子をインターンで受け入れるのは初めてですが、とても有能です」と手放しで絶賛する。

あえてハイレベルを目指し、関西から上京

山下さんが同社をアルバイト先に選んだのは、五十嵐氏の知人の紹介。その前にも知り合いを通じ、山下さんはIT企業への武者修行を行っている。関西が拠点の山下さんにとって、東京でのアルバイトは、物理的にも資金的に大変だが、「やる以上はレベルの高いところで」という判断で、あえて東京をその地に選んだ。

感服するのは、その貪欲さだ。アルバイトへは、入社直前の春休みに行くケースが一般的。大学生の場合は、夏休みも利用する場合があるが、高2では希だ。それを山下さんは、冬休みを除いた長期の休みが来るたびにアルバイトへ繰り出していく。そうした姿勢に加え、若さもあって、山下さんはプログラマーとして、メキメキ腕を上げている。

一体、同級生はこんな山下さんをどうみているのか。「先輩とかには私も早く行っておけばよかったっていわれますね」と17歳にして、才能を開花させ、輝きを放ち、東京で“出稼ぎ”する仲間を、友人・先輩らは一目置いているようだ。

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TmixのTシャツの手に将来展望を明かした山下さん

バイトしてみえてきた職業への思い

この年齢で社会に出る意味はとてつもなく大きい。なにより、働くことについて、早くから高い意識を持てるからだ。自分は何に興味があり、どんな職業に就きたいのか…。若いころはなかなかそうした展望を自分事として描きづらい。分からないことを知るには、未知の世界へ飛び込むことが一番だ。山下さんは、学校でも学ぶプログラミングを、より実践的に習得するために、アルバイトという道を見つけだし、自らの意志で飛び込んだ。

「最初は全然そのつもりはなかったのですが、企業に入って、いろいろなことを学ばせてもらって、いまはプログラマーとして食べていくのかなぁという実感が少し出てきました。そのためにはまだまだ学ぶことが多いですが、IT業界というのも魅力的で、また、インターネット関連のお仕事では、リモートワークもできるので、将来子供を産んだ時にはそうした働き方を活用できるのかな、ということをイメージしています」と山下さんは、すでに大学生でも考えそうにないところにまで目を向け、その将来像を具体的に描き始めている。

同社・吉川社長は言う。「学校では学べないことがアルバイトでは学べます。私が高校生の時は、遊んでいましたが、こういう経験はできるだけ早くしておいた方がいい。私は34歳で起業しましたが、もし、もっと早く社会に向き合っていたらどんな展開になっていたか分かりませんからね」。お金はなんとかなるものだが、時間だけはその瞬間、瞬間でしか消費できない。17歳にして、IT企業でアルバイトを経験する山下さんは、その時点でかけがいのない財産を得ていることになる。

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メガネの向こうにはシリコンバレーも見据えている

将来はシリコンバレーも視野に

高2の春休みといえば、遊びたい盛りの時期だ。そのほとんどの時間を同社でのアルバイトに費やす山下さん。充実の日々の中で、少しずつ、その胸に希望も膨らみ始めている。「特にWEB業界は、転職を繰り返している人も多く、堅苦しくない印象があります。私はひとつのところにずっといるのは苦手なので合っているのかなと感じています。また、海外にも興味があるので、そこも目指せたらなと思っています。だから、まず英語を習得しないといけません」。

関西から、東京へアルバイト修業し、将来的にはITの本丸、米・サンフランシスコ進出も視野に入れる17歳の女子高生プログラマー。まさに日々成長を遂げるその若さだけは、マネのしようはないが、人生を自分の手で切り開く行動力と貪欲な学習意欲、探究心、そして薄れがちなピュアな心くらいは、いくつになってもキープしていたいものだ。


株式会社spice life(スパイスライフ)【会社概要】
設立: 2007年5月7日
代表取締役社長: 吉川保男 取締役: 鈴木健、椛島誠一郎
資本金: 3,448万円(2016年4月現在)
所在地 〒150-0031 東京都渋谷区渋谷区渋谷3-28-8 第3久我屋ビル7F
従業員数 28名(2016年4月現在) HP:http://spicelife.jp/index.html

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