働き方

不労所得への憧れがなくなり、自分で稼ぐ方が満足になった理由

投稿日:2016年5月2日 / by

「不労所得」の素朴な疑問

不労所得。それは、働かなくてもお金が入ってくる仕組み。なんだか魅かれますよね。「金持ち父さん、貧乏父さん」も読みました。あくせく働く貧乏な実父を見限り、投資で稼ぐ賢い隣人に学ぶ、というお話です。

money01

でも考えてみれば、やっぱり変ですよね。お金にお金を稼がせる、なんていうやり方。だって、皆がそんなことしたら、道路や食べ物はいったい誰が作るのでしょうか。不労所得で稼ぐ人は賢く、労働で稼ぐ人は馬鹿。そんなのは、おかしいです。

確かに私も若い頃には憧れました。だって、素敵じゃないですか。リゾート地の海岸で寝転がっている間に、どんどんお金が入ってくる。しんどい事は一切せず、美味しいものばかり食べ、女の子にもモテる。言うことなしです。

25歳で会社を作った理由もそれでした。崇高な理念やビジョンがあったからではなく、不労所得が欲しかったから。会社を大きくして、三年経ったら社員ごと売り飛ばす。それが私の立てた計画でした。

別に酷いとは思いませんでした。だってそれが賢い生き方だと、信じていましたから。それに、売れているビジネス本にも、そう書いてありましたから。でもだんだんと、そういう生き方が嫌になっていったのです。

なぜ一生懸命働くことで満足になったのか

お金に興味がなくなった、というわけではありません。美味しいものは食べたいし、広い家にも住みたい。お洒落もしたいし、旅行にだって行きたい。だったら、頑張って働けばいいや、と思い至っただけです。その方が楽しいから。その方が美しいから。その方が、自分を好きでいられるから。

一生懸命働いて、誰かの役に立って、喜ばれて、そのお礼として受け取った報酬で、美味しいご飯を食べて、好きな酒を飲む。それで十分満足です。小さな男になったな、と言われそうですけど…。

お金を稼ぐのはとても重要な事です。そして、お金を使うのは、とても楽しい。でもお金に嵌まり過ぎてはならない。私は、自分自身にそう言い聞かせています。

お金から解放される近道は、使い切れないほどのお金を手にする事ではなく、必要以上にお金を欲しがらない事。本にも書きましたけど、私は本気でそう思っています。必要以上にお金を欲しがるから、お金に支配されてしまう。それはすなわち、お金を持っている人に支配されてしまう、ということです。

この世界から完全に貧富の差を失くす事は不可能でしょう。でもそれを健全な幅まで縮めることは可能です。その方法は、皆が必要以上にお金を欲しがらないようになる事です。誰も欲しがらなければ価値は下落します。マイナス金利とはまさに、お金の価値を下げるための第一歩なのかもしれません。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について