働き方

地方転職でミスマッチを起こすタイプは○○な人

投稿日:2016年5月10日 / by

地方転職を成功させるための知っておくべき基礎知識

地方への転職を検討する人が急増している。高収入オンリーの価値観が多様化し、自分らしく働きたいというニーズが増大。地方の側も、「地域創生」の名のもと、地域としての魅力を全面に打ち出し、もろ手をあげて、都心の優秀人材の受け入れ体制を整えている。教育費や居住費がほとんどかからない、都心では考えられない待遇を用意する町まである。会社を辞めたいと考えるビジネスパーソンにとっては、グイと前のめりになりそうな状況だが、あくまで「転職」であることを忘れてはならない。地方転職でミスマッチを起こさない、チェックポイントを探る--。

左から美瑛町<北海道>、智頭町<鳥取>、伊根町<京都>の各町長、加瀬澤氏

左から美瑛町<北海道>、智頭町<鳥取>、伊根町<京都>の各町長、加瀬澤氏

町長直々のプレゼンに前のめりになる来場者。美しい画像や動画を駆使しながら、さすがの話術で畳み掛けるおらが町の“説明会”は、一般企業への就活なら、一撃で惚れ込んでしまいそうになるほどの魅力にあふれる。会が終われば、地元の特産品をふんだんに使った料理をふるまい、胃袋までつかみにかかる。少なからず、地方への転職へ興味を持って来場した“予備軍”にとっては、ぐらりと気持ちが揺らぐひと時となったに違いない。

説明会を主催したのは、ビズリーチ。同社が運営する求人検索エンジン「スタンバイ」を活用し、都心から地方への人材還流を促すサービスの一環で、交流の場を設けた。「いまは地域創生の名のもとに、地域も都心の人材活用に積極的です。予算もしっかり割かれていますから、こうした状況はしばらく続くとみられています」とビズリーチの地方創生支援室チーフプロデューサーの加瀬澤良年氏は解説する。

実際、今回上京した美瑛町(北海道)、智頭町(鳥取県)、伊根町(京都府)の3町は、地方ではなかなか採れない、町の資源を活用し、企画立案したり、SNS等で発信して町の自立を目指す地域プロデューサーを合同募集。その鼻息は荒かった。なかでも、伊根町は、条件付きながら、住居、学費など全面的にバックアップする破格といえる待遇を用意し、町を活性化する首都圏人材に“就職”をアピールした。

特産品を使った料理もふるまわれ、意欲だけなく食欲も刺激…

特産品を使った料理もふるまわれ、意欲だけなく食欲も刺激…

地方転職で注意すべき“落とし穴”とは

都心には確かに、企画力が高く、SNSを駆使して、情報を拡散できる人材はごろごろいる。そうした人材にとってはうってつけの求人といえるが、落とし穴はある。一般企業なら、ほぼマッチング成立、といえそうだが、そこは地方転職。単に実力があるだけはベストマッチングとはならない。

加瀬澤氏が指摘する。「今回の募集のような地域プロデューサーについては、WEBを使いこなせて、マーケティング能力が高ければ、スキルとしては問題ないでしょう。ただし、そうした先端をいくスキルを使う以前の問題として、移住を伴う転職には注意が必要です。地域を理解し、馴染もうとすることが何よりも大切だと考えています」。つまり、地域に溶け込むために、その土地の人間と同じ目線で溶け込もうとする姿勢がなければ、結果的にフィットできず、スキルも持ち腐れになるということだ。

企業にも社風があるように、組織や地域には独特のしきたりがある。社風は、“特別待遇”などで何とかクリアできても、地域の風習は、ごまかしようがない。そもそも、風習を無視して、先端の発信力で地域をアピールしても、真の地域創生にはつながらない。美瑛町は、「日本で最も美しい村」連合としてブランディングに成功し、すでに地域の価値づくりには成功している。そうした資産をいかにして、さらなる高みへ引き上げるか。赴任する地域に「愛」がなければ、数字としての成果は出せても、爆発力にはつながらないだろう。

「地域プロデューサーについては、まだまだ成功例が少ないのが実状です。それでも、成功している地域に共通するのは、町長のフットワークと情熱です。だから今回のイベントでも、上京してくれることを開催の条件とさせていただいたんです」と加瀬澤氏は打ち明ける。

いかに地域にゼロから溶け込むか。そして、地域の長といかにガッチリとタッグを組めるか。スキルはもちろんだが、まさに「人間力」がなければ、地方転職を成功させるのは難しい。すでに地方へ目が向いている予備軍の方も、そのことはしっかりと心得ておく必要がありそうだ。

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