働き方

シニアがインターンシップに参加する意味とは

投稿日:2016年5月11日 / by

シニア層向けのインターンシップの狙いとその効果
マイスター60 髙平ゆかり氏

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シニア層が、いつまでもやりがいを持って働ける社会の実現が望まれている。社会構造の変化により、年金の受給開始時期が段階的にスライド。定年も引き延ばされ、少なくとも65歳まで働くことが求められる。本来ならリタイアとなる年齢だけに、できれば余力で乗り切りたいところだろう。だが、社会の高齢化は、企業の経営事情も圧迫。“腰かけシニア”を抱える余裕はない。現状のままでは誰もハッピーになれない。そんなシニアの就労事情に、「シニア・インターンシップ」で一石を投じる、(株)マイスター60の髙平ゆかり氏に、その狙いや効果について聞いた。

なぜシニアにインターンシップを実施するのか

--インターンシップといえば、学生が就業体験することで、社会を経験し、企業を知り、就職に役立てる取り組みのイメージです。すでに社会経験が豊富なシニア層を対象にしたインターンシップにはどんな意味があるのでしょうか。

髙平氏 ご存知のように、シニア層は、年金受給時期の段階的スライドを経て、65歳まで支給されなくなります。つまり、その年齢までなんとか自力で収入を得る必要があるわけです。企業による継続雇用で65歳まで働ける場合もあるでしょうが、年収は少なくなります。そうでない場合には、転職ということも考えなければなりません。いずれにせよ、いわゆる定年以降には、これまでの肩書はリセットする必要があるわけですが、長年染みついたものがそう簡単に整理されるとは思えません。そこで、インターンシップというカタチで、これまでのキャリアを振り返りながら、実際に職場に出て、何かを感じていただくことに主眼を置いたコンセプトで実施するのが、シニア・インターンシップになります。

年来肩書きを抜きにしたロープレで素の自分をアピール

年来肩書きを抜きにしたロープレで素の自分をアピール

--学生のインターンシップが、学び・吸収することが目的だとすれば、シニアインターンシップでは、気づき・感じることがメインテーマということですね。具体的にはどんなプログラムが実施されるのでしょうか。

髙平氏 就業体験では、当社で実際に働いていただきます。「高齢者会社」である当社は、高齢者の就業支援なども行っており、そうした現場に帯同することで、シニアの就労市場というものがみえてくると思っています。それによって、ひとつの企業に属し、外の世界をあまり見て来なかった人に、シニアの市場価値を肌感覚で感じてもらえればとも思っています。シニアで転職となるとどうしても、年収は大幅に下がりますが、そうした現実をしっかりと認識してもらうことで、意識変革につながればと考えています。同様の狙いで、ロールプレイングも行います。その際、学歴や肩書は一切出さず、あくまで一人の人間として、コミュニケーションしてもらうようにしています。そうすることで素の自分が出せますし、そこでどんな魅力が出せるのかが問われることになります。

“異質”を体験することで長年の硬直ほぐすのが目的

--視野の広いシニアもいますが、景気のいい時に会社に全力を捧げた世代はどうしても“愛社精神”が強すぎるきらいがあります。その結果、外部とのコミュニケーションにおいて、硬直しがちで、せっかくのスキルや能力を有効活用できずにいたりします。

髙平氏 だから、そうした社内だけで通じる限定的なノウハウから開放され、凝り固まった頭を解きほぐす必要があると考えています。ワークショップでは、現役大学生とアニメを鑑賞し、メイドカフェのアルバイト体験記を聞いてもらったり、現役のデジタルハリウッド生によるシニア向けのフェイスブック講座を開催したり、学生起業の話を聞いてもらったりと、異質な価値感、世界観を持つ世代と接してもらい、個人の気づきを後押しするようにしています。

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「感じてもらうこと」が目的という髙平氏

--もしかしたら一生接点がなかったかもしれない世代と同じ空気を共にすることは、ある意味ショッキングであり、最高に刺激的かもしれませんね。

髙平氏 第一期の体験者の感想として、「笑顔=いい顔」の自分になれた、というのがありました。その方は結局、会社の継続雇用を断って、週4日の仕事をみつけ、オフにはおやじバンドで活躍しています。もともとバンド活動をやっていたとはいえ、いままでと違った世界へ飛び込むことや自分の殻を破る気持ちを持っておいた方がいい、とまさに閉鎖的な価値観から開放されたようで、イキイキとしたシニアライフを送っておられます。別の方も、体験後、固定観念・先入観はダメ。自分が変わらなければ相手は変わらない、と自覚し、最低でも70歳まで働くぞ、とイキイキと職場で働いておられます。

より多くのシニアがイキイキ働ける就業体験へ

--インターンシップ=学生という先入観も、これからは変わっていくかもしれませんね。

髙平氏 私どもしては、このシニア・インターンシップを前向きな取り組みと位置付けています。下がりがちなモチベーションをもう一度高め、戦力化することはもちろんですが、より広い視野を持って、高齢社会の中に活躍の場を自らの判断で見出せる力をつけてもらえる機会と考えています。弊社独自のサービスとしてだけでなく、広く一般にも導入され、一人でも多くのシニアが、イキイキと働けるきっかけになればと思っています。現状は、企業から依頼を受け、参加するメンバーの人選が行われていますが、個人での参加もできるよう、今後、柔軟に対処できるように仕組みづくりをしていきたいと考えています。

インターンシップ=学生のイメージは変わっていきそうだ

インターンシップ=学生のイメージは変わっていきそうだ

--最後に、1億総活躍社会の実現が叫ばれ、シニアの活躍にも期待がかかっています。就業継続はもちろんですが、シニア層が職場で輝くポイントがあれば教えてください。

髙平氏 職場に限ることはないと思います。趣味でも地域の活動でも、家族とのことでもなんでもそうですが、生きがいをみつけ、それを軸に、人や社会の役に立つ。どうしても収入をたくさん得る必要がある人ももちろんいるかもしれませんが、それにしても、仕事オンリーではなく、プライベートもトータルで充実した日々を送る。おしゃれをすることだっていいんです。そうしたことが、生活に張りをもたらしますし、シニア世代が輝く上で、重要なことだと思います。


シニア|施工管理|設備管理│転職|マイスター60

http://www.mystar60.co.jp/

【会社概要】
社名:株式会社マイスター60 (英文名:MYSTAR60 CORP.)
本社所在地:〒141-0031東京都品川区西五反田7-19-1
設立:1990(平成2)年2月1日
資本金:1,000万円
代表者:取締役会長 平野 茂夫
取締役社長:三宮 幸一
従業員数:324名(2016年4月1日現在)
事業内容:人材派遣、職業紹介等の人材サービス
[労働者派遣事業許可番号]派13-304122
[有料職業紹介事業許可番号]13-ユ-303702

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