働き方

働き方の指標「ワークスインデックス」はなぜ画期的なのか

投稿日:2016年5月23日 / by

リークルートが開発した働き方の指標とは

リクルートホールディングスは2016年5月23日、「全国就業実態パネル調査」の開始と、同調査データを活用した働き方の指標となる「Works Index(ワークスインデックス)」を開発したことを発表した。パネル調査の対象は、全国の15歳以上の男女約4万人で、調査は毎年継続する。

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日本人の働き方は52.38ポイント--。そう言われてもピンと来ないかもしれないが、ワークスインデックスが開発されたことにより、あいまいな「働き方」を明確に評価することが可能になる。指標は、0~100で評価され、スコアが大きいほど望ましい状況を表す。<職業の安定>、<生計の自立>、<ワークライフバランス>、<学習・訓練>、<ディーセントワーク>の5項目で構成され、パネル調査の結果によって得点を算出する。

「少子高齢化による労働人口減少社会を迎え、従来の働き方を見直そうとする動きがこれまでになく高まっている。誰もが継続できる働き方に改革することで多様な人材が活躍する。この動きを前進させるには、望ましい方向へ向かっているかを定期的に観測し、評価していくことが重要。量的側面だけでなく、質的側面の観測が求められる。そのためには可視化して、その変化をみていく必要がある」と同社では調査パネルと指標開発の背景を説明する。

これまでの公的な統計では、個人の就業実態を捉えきることは難しかった。それが実際にどんな影響をもたらし、どう展開されるのかなどは把握できなかった。同じ対象に定期的に調査を継続するパネル調査では、状況と結果の因果関係を検証でき、曖昧模糊な働き方の実体を、明確にできる。公的データと補完し合うことで、より深い検証も可能になるだろう。ボリュームも幅広い属性を網羅した4万人規模でかなりのもの。その価値と意義は極めて大きいといえるだろう。

指標ができたことで働き方はどう変わっていくのか…

例えば、出産後離職した女性がその後どうなったのか。転勤後、賃金はどう変化したのか、非正規社員がどういうプロセスで正社員転換されたかのか、長時間労働で働き続けた社員はその後どうなったのか…など、仮説レベルではある程度把握できている状況を、実際の個人の変化で捉えられるため、具体的な課題として、対処策に切り込むことも容易になる。

第一回パネル調査結果より、日本全体の「Works Index 2015」の結果

第一回パネル調査結果より、日本全体の「Works Index 2015」の結果

ワークスインデックスと経済状況を時間軸で擂り合せることで、景気動向と働き方の因果関係をあぶり出すことも可能かもしれない。不景気フェーズではやはり職業の安定指数が低いのか、好景気では生計の自立指数が高いのかなど、2つの取り組みによって、働き方がもたらす様々なメリットやデメリットが可視化されることで、働き方改革は、一気に加速する可能性もある。

ちなみに、ワークスインデックスの2015年版の結果は、平均値が52.38だったが、学習・訓練の項目は30.6で最も低かった。現状では、職場で学ぶ機会や成長機会が少なく、裏を返せば、目の前の仕事で手一杯とみることができるかもしれない。一方、最もポイントが高かったのは、ワークライフバランスの項目で63ポイントだった。

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