
リモートワーク導入の本当のメリットとは【瓦の目】
急拡大するリモートワーク
リモートワーク導入企業が急速に拡大している。すでにパナソニックやリクルート日産自動車などが導入しており、トヨタ自動車も導入を決定している。2016年7月1日にはクラウドソーシングのクラウドワークスも全社員に適用するリモートワークなどを含めた「ハタカク」の導入を開始。日本全体ではまだまだ少数派だが、短期でみればハイペースで拡大が続いている。

これもありでしょうが、おススメできるスタイルではないですね…
背景には少子高齢化による労働力不足がある。ミドル層は介護、子育て女性は育児、若年層では優秀な人材の獲得激化、など、現役層だけをみても取り巻く環境は多様で厳しい。そうした中で、出来るだけ優秀な人材を確保するためには、個々が自分の都合に合わせ、働ける環境の提供が求められる。在宅勤務やリモートワークは、それを実現する手段としていまや、企業も見過ごせない状況となっている。
活用の判断はあくまで個人ベース
マネージャーにとっては、目の前で監視できない、チームとしては、直接のコミュニケーションがなく、肌感覚が伝わらない、などのデメリットもあるが、それ以上に人材不足が深刻というのが実状だ。導入企業のほとんどは、段階的に全面解禁へシフトしているが、それによって今後、確実に新たな問題も顕在化してくるだろう。
試行錯誤の末にリモートワークを取りやめたある企業の代表は「ちょっとした雑談などから思わぬアイディアが生まれたり、気付きがある。皆がオフィスで働くから保たれるクオリティがある」と語っていた。全社員がリモートワークで働いたからといって、大きな問題が生じることはないだろう。だが、気づかないほどの小さな損失が、どこかに積み上がっていることも確かだろう。
導入企業は、当然だがリモートワーク活用について必須ではなく、あくまでその活用の権利を与えているに過ぎない。マネージャーが適正をみて、可否の判断を下すケースもある。つまり、企業は、導入はしているが、必ずしも活用を推奨しているわけではない。各自が、プライベートより働くことを優先した時、その中でも一番都合よく働けるスタイルを選択できるーー。リモートワーク導入が広がる最大のメリットは、長きにわたって安心して働き続けられるベースができることに他ならない。