働き方

2016年上半期働き方5大ニュース

投稿日:2016年7月12日 / by

今年働き方でインパクトのあった5大トピック

2016年もあっという間に後半戦に突入しました。働き方に関しては、例年になく濃密だった印象の前半戦。働き方のシフトをひしひしと感じる動きが目白押しでした。そこで瓦版では2016年上半期5大ニュースをピックアップ。インパクト順に紹介します。

5位:フリーランスにボーナス支給

クラウドソーシングの台頭で、フリーランスの不安定はかなり解消されつつある。とはいえ、単価の安さや実力者への仕事偏重など、“格差”が拡がりつつあるのも事実。課題解消には、フリーランスの底上げが最も有効だが、誰もが登録できるオープンのよさと実力アップは相反する部分もある。そうした中で、クラウドソーシング大手2社が相次いでボーナス支給を決定した。

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クラウドワークスは5月に「クラウドワークスボーナス」を発表。同社が業務品質の高さを認定する「プロフェッショナルワーカー」を対象に、最大で10万円の賞与を支給する。ランサーズは6月に依頼総数100万件突破を記念して、スペシャルボーナスの支給を決定。一定条件をクリアしたランサーにベース金額を設定。そこからの成長分を3%~10%の割合で支給する。いずれも目的は、登録ワーカーのモチベーションアップによる底上げだ。

賞与といえば正社員。クラウドソーシング業界の2大巨頭が相次いでボーナス支給を実施したことで今後、フリーランスというワークスタイルにも頑張れば報われる「賞与」制度が定着するかもしれない。

4位:HRテック勃興

昨年からチラホラと生まれ始めていたHRテックの領域に、2016年地殻変動が起こった。1月に人材サービスのネオキャリアが総合型のHRテックサービス「jinjer(ジンジャー)」をリリース。人事・労務系の業務を総合管理するクラウドサービスとして、HRテックに切り込んだ。遅れること5か月。人材企業のビズリーチが「HRMOS(ハーモス)」を引っ提げ、追随した。共に人事領域の可視化と人工知能による解析を武器に、ブラックボックス化しがちな人事を見える化。より戦略的な人事をサポートするツールとして、投入した。

左からビズリーチ、竹内氏、YJキャピタル、平山氏、セールフォース・ドットコム、浅田氏、ビズリーチ南氏

左からビズリーチ、竹内氏、YJキャピタル、平山氏、セールフォース・ドットコム、浅田氏、ビズリーチ南氏

HRテックが普及すると顕著に変わるのが、人事評価。あらゆる行動がデータ化されることで、より精度の高い透明性ある評価が可能となり、人材配置の最適化も容易になる。裏を返せば、本当に必要な人材のチョイスが鮮明になり、真の組織力強化のチーム作りが可能になる。抜本的な働き方革命にもつながるだけに、新しい働き方へのシフトを加速させる意味合いでも、今後その動向からは目が離せない。

3位:プロ化加速

フリーランスの台頭が目立った昨今の潮流からさらに進化したカタチが“プロ化”といっていいだろう。フリーの中でも抜きん出た実力を持ったワーカーは、売り手市場で職を選び、複数の企業とも契約を結ぶ。そうした流れに、企業側が制度として「プロ契約」を導入する事例も登場した。正社員から個人事業主への転換を後押しする人材プラットフォームが誕生するなど、優秀な人材に対するニーズが高まり、さまざまなスタイルで働くフィールドが広がった。

プロゲーマーとしてのゆるぎない姿勢をみせた3人

モブキャストとプロ契約した3人

フリーランスで複数の企業と契約を結ぶワーカーがいる一方で、正社員として場を確保しながら、すぐれたスキルを他社でも活用する例も増え始め、まさにパラレルに企業間をまたがる働き方も珍しくなってきた。企業>個人から企業=個人。あくまで優秀な人材限定だが、そうした構図も鮮明になり、今後働き方が大きくシフトすることを感じさせるビッグウェーブが到来したといえるだろう。

2位:リモートワーク拡大

リモートワーク元年といっていいほど、大企業を中心に導入が相次いだ2016年上半期だった。1月にリクルートホールディングスが上限日数なし・雇用形態無関係で全従業員を対象としたリモートワークの本格導入を決めたのを皮切りに三菱UFJ銀行、リコー、日本マイクロソフト、トヨタなど、名だたる企業が追随した。政権の後押しがある中で、今年に入り、導入準備が整ったことが背景にはあるのだろう。

これも一応ありでしょうが、おススメできるスタイルではないですね…

これも一応ありでしょうが、おススメできるスタイルではないですね…

根本の部分では、少子高齢化による人材不足をフォローするのがリモートワーク導入の最大の目的。職場に縛り付けることで、子育てや介護が十分にできず、それが原因で離職するなら、それはなくしましょう、ということだ。もはや、共働きはスタンダードで、介護問題も身近なテーマ。古い慣習があだとなり、優秀な人材を失うようでは競争を勝ち抜けない時代。社会構造の変化が圧力となり、働き方をシフトさせている象徴的な事例といえるだろう。

1位:副業解禁

ロート製薬が副業を解禁したことは大きなインパクトもたらした。そもそも、副業は就業時間外なら可能ではあるが、現実的には就業規則で認められていなければ困難だ。それよりも大企業の場合、副業などしなくても、十分に収入を得られるという前提がある。そうした中で、安定企業のロート製薬が副業を容認したことは、大きな波紋を投じた。

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決してネガティブな意味合いでなく、副業が本業になにをもたらすのか、という根源的なテーマに始まり、取り組む意味などについての議論だ。同社は、多様な視点が育まれることをメリットとし、本業への還元を期待する旨を解禁理由の一つとしている。それくらいいま、企業の現場では、新たな視点が求められているということでもある。デメリットを挙げれば、副業にのめりこみ、本業を副業化、あるいは副業に専念ということも懸念されるが、もはやそうなっても仕方ない、という覚悟はできているのだろう。

本業以外に仕事をするスタイルは、軽いのもが副業、さらに比重が高まればパラレルキャリアへと深化する。人材不足というこれからの日本の慢性的課題にとって、優秀な人材の確保は死活問題。副業解禁企業が今後拡大することで、日本の人材市場は、アメーバのように流動化し、一人が複数枚の名刺を持ち歩くことがスタンダードになるかもしれない。副業解禁が及ぼすインパクトは、実は想像以上に激しいのだ。

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