働き方

人事領域に到来したテクノロジーの波がもたらすモノとは

投稿日:2016年7月15日 / by

HRテックで加速する戦略人事

第一回 ~HRテックの勃興~

HRテックという言葉を耳にする機会が徐々に増えてきた。HRはヒューマンリレーションズ、つまり人間関係で人事、テックはテクノロジー。要するに、人事領域にテクノロジーが、融合したものがHRテックだ。

hrtech1
人事といえば、イコールブラックボックスといっていいほど、デジタルとは相容れない。人事評価、給与など、会社の裏側で密かに調整が行われ、社員の不評を買うのがその役割といっていいかもしれない。好まれるよりは確実にビジネスパーソンから煙たがられる存在だ。

好き嫌いや偏見が入っているとしか思えない評価がなされる一方で、デジタル化が難しい領域でもある。「頑張っている」を数値化するのは無理があるし、労働時間の長さだけで貢献度を判断するのも不合理だ。なにより、人事をクラウド化することに、経営側が拒絶反応を示している節もある。キチンとしていないから人事、という暗黙のルールがいまだまかり通っている。

だが、時代は変わった。大量に人を採用し、ルールで縛り、それなりの昇給システムで回していけば、誰もがそれなりにハッピーになれる。そんな時代は終わった。少子高齢化で労働人口が減り、優秀な人材をいかに確保し、定着させるかが、昨今の経営における重要課題となっている。テクノロジーも十分に進化し、人事を解析するだけの域に達しつつある。もはや、人事の役割は変質し、その重要性が高まり、戦略的に機能しなければ、経営に支障をきたしかねない状況になっているのだ。

働き方にも改革をもたらすHRテック

HRテックの台頭はまさに、そうした“戦略的人事”をサポートするのにうってつけの潮流といえる。導入によって、何がどう変わるのか…。以降の連載でひも解いていくが、簡単にいえば、ブラックボックスだった人事を可視化・データ化、人工知能で解析することで、感覚的で場当たり的な人材配置を排除。プロジェクトを推進させる優秀な人材を、裏付けによってピックアップ。まさに戦略的に人事を機能させる--。

HRテックにより、属人性はむしろ組織としての武器となり、公平で透明性ある評価が浸透する先には、企業の活性化が待っている。多様な人材が、それぞれに存分に持ち味を発揮し、相乗効果でさらにパワーを増幅する。逆にいえば、出来るのものがどんどん躍進し、そうでないものは没落していく…。そうした厳しい現実も待ち受ける。

とはいえ、学歴やごますりといった純粋なスキルとは無関係な要素が昇進に幅を利かせた時代が終わったいま、企業が、その人材を活かすために別のスタイルを求められているのは事実。それを実現する最有力の手段のひとつが、HRテックであることは間違いない。

新しい働き方へのシフトを大きく推進する最後の聖域といえる人事に到来したテクノロジーによる変革の波。それによってどんなことが起こり、企業は、そして社員はどう対処していけばいいのか…。これから数回にわたり、最前線を見渡しながら、働き方改革終盤の動きを展望していく。

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について