働き方

地方回帰は、都会への疲弊のあらわれなのか…【瓦の目】

投稿日:2016年7月22日 / by

将来は地方でが7割弱

キャリアプランニングの調査では、将来的に地方での生活を希望する社会人は47%だったという。対象は東京・大阪を中心とした大都市圏に居住する20歳~49歳の社会人。ほぼ半数が、いずれは地方で、と考えていることになる。現在の居住地も含めた全国にエリアを広げた場合、その割合は68%になるという。

キャリアプランニング調べ

キャリアプランニング調べ

地方に魅力を感じているのか、都会の生活に疲れ果てたからなのかは調査からは分からない。しかし、地方での就職先の63%が「地元企業への転職」となっており、後者の可能性が高そうだ。職場だけ移動のリモートワークによる地方移住は、この調査では9%と少数派だ。ただし、「地元で起業」も13%おり、合わせれば5人に1人は自身の知見やテクノロジーを活用した先鋭的地方移住にトライするようだ。

キャリアプランニング調べ

キャリアプランニング調べ

地方はいま、人口減少の影響をもろに受け、存亡の危機に瀕している。有望な人材がこぞって大都市へ流れてしまうのだから、活力の増しようがない。ベッドタウンが空き家問題で衰退するのと地方が若者流出で衰退するのは根本は同じ問題だ。抜けた穴が埋まれば、基本的には問題は解消する。だが、地方の場合、単に出ていった人間が戻ってくれば万事OKというわけにはいかない。

人材を待ち受ける地方が今すべきこととは

地方創生の号令で、地方都市はこぞって人材募集に力を入れている。募集人員はもちろん、地方を再生してくれる人材だ。とはいえ、地域を活性化するというプロジェクトは、想像以上に困難を伴う。大企業での華々しい実績はもちろん活かせるが、あくまで一要素でしかない。地域住民とのコミュニケーションや地域文化の理解、なにより地域への愛情がなければ、どんなに立派な構想も絵に描いた餅にしかならない…。

大都市のビジネスパーソンの多くが地方回帰を示していることは、喜ばしいことではある。だが、疲れ果てた社会人が、地元の空気恋しさに、漫然とU・Iターンするだけでは、かえって衰退を加速しかねない。大都市から有望人材が流出することで、国力減退につながる可能性もある。

右肩上がりの時代が終わり、働く者の価値感も大きく変わった。地方が有望な人材を呼び込むチャンスは広がっている。それをしっかりプラスに転換するためにはまず、地方企業自体が、能動的にその魅力を上げることに注力することが先決といえるだろう。

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