働き方

パラレルキャリア実践への確実で最短のルートとは

投稿日:2016年8月3日 / by

複業が副業容認の風潮だけでは拡がらない理由

「複業がより推進されるためにはまず、一個人がハイパフォーマーになるべき」。こう明言するのは日本マイクロソフトの砂金信一郎氏だ。エバンジェリストとして自社の商品やサービスを伝道する氏は、有言実行で、本業では十分過ぎる結果を出し、存分にパラレルキャリアを実践している。

複業イベントで語る砂金氏(左)

複業イベントで語る砂金氏(左)

もっとも砂金氏の事例を「特殊だ」と感じる人も少なくないかもしれない。氏がハイパフォーマンスなビジネスマンであり、外資系の企業で働いているからだ。だが、それを差し引いても、文句の付けのようない結果を出していれば、会社が当該の人材の社外活動に口をはさみづらくなるのは確かだろう。

そこで重要になるのが、働くスタンスだ。仕事でハイパフォーマンスを出すにしても、どんなプロセスで結果を出しているのか…。それによっては、将来的に複業を視野に入れていてもそこへつながりづらい可能性もあるからだ。具体的には、会社の看板をフル活用しての結果なのか、それもあるがそれ以上に自分の名前で仕事をした上での結果なのか、ということだ。

砂金氏は言う。「会社員ですから、会社の名前で仕事をするのは当然ですが、『あなたにこの仕事を頼みたい』といわれるような質的な仕事がもらえるような仕事の仕方は複業をやろうとする人なら大切になると思います。会社員時代から、自分の名前で仕事をするスタンスは重要じゃないでしょうか」。

ハイパフォーマーになることが確実で最短のルート

会社員からプロの仕事人への進化。このプロセスがなければ、複業に取り組んでも遅かれ早かれ失敗しか待っていないだろう。会社員としてしっかり本業で結果を出し、一方でプロの仕事人として、複業でも結果を出す。ここに副業と複業の明確な差が、そしてパラレルキャリアの本質があるといえるだろう。

かつてなら、砂金氏のようなハイパフォーマーは、重要なポジションに昇格し、報酬もアップするなど、内へ向かって結果が反映され、ステップアップするのが一般的だった。だがいまや、チカラのある個人に対し、企業はより自由でいられる権利を与える傾向が高まっている。囲い込みたいが、それ以上に離脱を恐れているからだ。もちろん、当人がそれを望まなければ、従来通り内向きの評価もするが、働く側の価値感が変化し、その意識はより外へオープンへと向いつつある。

冒頭の砂金氏の言葉のように、パラレルキャリが今後、より大きなうねりとなるには、企業ではなく、働く側が意識を変え、積極的にアクションを起こすことが重要になる。複業に関しては、たとえ企業が容認の姿勢を示したとしても、その主導権は、あくまで働く側にある。<将来が不安>、<もっと自分のスキルを最大化したい>…。きっかけは何でもいい。「自分もパラレルキャリアを実践したい」。強くそう思うなら、まずは、本業で自分のスキルをベースにした圧倒的な結果を出すことからスタートするのが、確実で最短のルートといえるだろう。(続く)

次回は、“偉人”でなく、凡人でもパラレルキャリを実践するためのノウハウについて、です。

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