働き方

グローバル人材に近づくために知っておくべきシンプルすぎる極意とは

投稿日:2016年8月18日 / by

日本人が世界で戦うために必要なもの

日本が世界の頂点から陥落して久しい。グローバル化の重要性が叫ばれ始めたのはもうずいぶん前だ。だが、日本人の志向は内向きのまま。世界で活躍する日本人はごく一部に過ぎない。一体どうすれば、日本の閉塞感を打破する外へ向かうマインドを醸成できるのか。グローバル人材育成のエキスパートに聞いた。

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最初に基本的なことだが、グローバルスタンダードとはどんな基準なのか。ここがあいまいでは、グローバル人材を目指す糸口すらない。「人に好かれることです。自分を殺すんじゃなく、察するのです」。こうシンプルに解説したのは、酒井レオ氏。NYで生まれ育ち、ワシントン大学を卒業後、JPモルガンなどを経て、アメリカ最大の民間金融機関、バンクオブアメリカに入行。全米営業成績1位を達成したスーパーなグローバル人材だ。

「人に好かれる」とはあまりにシンプルだが、媚びるワケでは決してない。人が嫌がることを率先して行い、相手の文化や境遇などを察し、リスペクトした上で受け入れる。それが、華麗なキャリアを創りだした氏の唯一の原動力だ。もちろん、語学力や卓越したビジネススキルがあれば有利には違いない。だが、それだけでは無用の長物。むしろ、誰にでも好かれ信頼されるパーソナリティこそが、重要と力説する。

「大手の会社の融資をするのは誰でもできる。小さな会社こそ本当に融資が必要だからやるべきなんです」と酒井氏。本当にサポートが必要な人を選んでアプローチするからこそ信頼は積み上がり、相手のことを理解するから距離も縮まる。結果、誰からも好かれることになる。まさに有言実行の酒井氏の働き方は、ともすれば技術論に走りがちなグローバルな働き方を本質的にマスターする上で大いに参考になる。

企業の海外進出をサポートする事業を運営する山中哲男氏も同調しつつこう付け加える。「人に好かれるためには自分のことを相手にシェアしないと難しい。ギブをして初めてテイクが得られる。私は仕事をする相手とはまず仕事ではないコミュニケーションから入る。その結果、仕事に発展しないという判断に至ることもある」。同じ国同士の場合は、好き嫌いが判断材料となるが、異国の人が相手となれば、文化や習慣も見極め対象となる。あらさがしではなく、ひとつでも多くいい部分をみつけながら、関係性を強めていく。それがグローバルでも通用するビジネスコミュニケーションということだ。

マインドを変えなければ世界に後塵を拝するのみ

翻って日本はどうだろう。同じ会社の人員でもあらさがしに終始し、チャンスを潰すことに執心する事例がいまだ後を絶たない。仕事に関係のないコミュニケーションは時間の無駄、といわんばかりでどこまでも冷ややかだ。グローバルに生き抜く力と比較すれば、まるで正反対の動き。あまりにピントがずれている。これでは、日本が世界に後れを取るのも無理はない。

世界の最先端でトップを走った酒井氏はズバリ指摘する。「海外では上、横、下、どこからも意見が飛んでくる。一方、日本では上ばかり見ている」。まじめで勤勉なのは、強力な武器に違いない。だが、上司に評価してもらうことが目的なら、完全な用途違い。せっかくの素晴らしい姿勢も、使い方を間違えると世界という舞台では全く役に立たない。

グローバルで通用する人材に必要な心構えを語る山中氏()左)、酒井氏(右)

グローバルで通用する人材に必要な心構えを語る山中氏(左)、酒井氏(右)

日本製品が「ガラパゴス」と揶揄されて久しい。それはまさにこうした内向き志向の象徴といえる。長らく再浮上へもがき苦しむ日本企業だが、その道のりは険しいと言わざる得ない。なぜなら、企業の体制ややり方を変えるだけの問題でなく、そこで働く人員ひとりひとりのマインドの問題だからだ。全員とはいわないが、多くの人材がグローバル志向に頭を切り替えなければ、どんなに技術力を磨き上げても宝の持ち腐れ。日本はそして、日本のビジネスパーソンは世界に後塵を拝し続けるだけだ。

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