働き方

働き方の変化とコーヒーのただならぬ関係とは

投稿日:2016年9月20日 / by

コーヒーのあるところに仕事あり

コーヒーの進化をみれば、働き方の変化も分かる--。仕事の現場とコーヒーの関係が親密なのは何となく分かるだろう。ちょっと一息の缶コーヒー、訪問先でコーヒーのお出迎え、会議中のドリンクの定番、出先でカフェに立ち寄って一仕事…。仕事場には常にコーヒーがあり、コーヒーのあるところには仕事がある。

仕事のそばにはいつもコーヒーがある

仕事のそばにはいつもコーヒーがある

「イメージだけ」。そんな声もあるかもしれない。では、より身近なところから具体的にみてみよう。例えば缶コーヒー。バブルが崩壊した90年代前半には、いわゆる缶コーヒー、ショート缶といわれるタイプが、外回りの営業マンや現場作業に従事する労働者に愛飲された。

2000年に入ると、デフレ傾向が強まり、100円ショップが大盛況。ちょっと一息のアイテムとして、缶コーヒーがもてはやされる。ラインナップも充実し、98年の増税もあり、品質面を強調する120円缶コーヒーが多数登場する。景気低迷でお小遣いを絞られた会社員にとって、100円と少しの缶コーヒーが全盛の時代となるのも必然だった。

しかし、2005年になると企業のネット活用が9割を突破。働き方が、大きく変化する。ノートPCを持って出先で業務するケースも増え、カフェでのコーヒー需要が増大する。その結果、各テーブルに電源を備えたカフェが増え、カフェがセカンドオフィス化する。2011年の東日本大震災以降は、リモートワークが増大するなど、カフェの在り方自体が大きく変化した。

さらに、テクノロジーが進化すると、PC間のやり取りだけで基本的なやり取りのほとんどは場所に捉われる必要なくなる。その結果、外回り派と内勤派が二極化。総体的にはオフィスにいる時間が増大し、それによって缶コーヒー需要がやや復調する。一方で、コンビニでもカフェ並みの品質のコーヒーの提供が始まり、2010年ごろから、カフェ、コンビニコーヒーが激しいバトルが繰り広げられる。その結果、コンビニのイートインも増大し、コンビニのセカンドオフィス化も加速する。

両者に後れを取った形の缶コーヒーだが、節約志向なども相まって、オフィスでの飲食シーンも増え、ジワジワ復調。飲みきりタイプのショート缶から持ち運びしやすいボトル缶へとシフトを進め、同時に品質も高めることで盛り返した。そして、女性活躍の流れが加わり、缶コーヒーは、さらなる進化を遂げる。

大容量ボトル缶タイプが急増している意外な事情とは

カフェでのラテ需要に合わせ、肥えた口に追従すべく高品質なボトル缶タイプのラテを開発するなどで、女性ニーズを捉え、高品質化と多様化を加速。激しいコーヒーバトルに切り込んだ。グイっと一息で飲むショート缶に対し、4、5時間かけ、チビチビ飲む500ml前後のボトル缶が昨今急増しているのはそのためだ。

働き方とコーヒーについてトークした3人(左からリクルートワークス研究所大久保幸夫所長、漫画家・弘兼憲史氏、コーヒー専門店Mui・大沢征史店主)

働き方とコーヒーについてトークした3人(左からリクルートワークス研究所大久保幸夫所長、漫画家・弘兼憲史氏、コーヒー専門店Mui・大沢征史店主)

こうしたコーヒーバトルの最前線に立つ、サントリー食品インターナショナル執行役員の柳井慎一郎氏は、「90年代からの缶コーヒーを振り返ってみると、結果的な側面もあるが、ワークスタイルに合わせ、缶コーヒーも進化している。今後も単なる嗜好の変化という側面だけでなく、社会的役割を意識した仕事をしていきたい」とコーヒーの進化が働き方とシンクロしていることを認めつつ、今後もそうしたスタンスで製品開発を続けていくことを宣言した。

仕事場には常にコーヒーがあり、コーヒーのあるところには仕事がある--。それは、コーヒーがエナジー系の活力を与え、リラクゼーションももたらしてくれる職場の静と動を兼ね添えた“復調アイテム”だからだろう。今後も、その進化はとどまることはなく、ますますライナップが充実していきそうだが、IoTを活用し、個々の嗜好やバイオリズム、あるいはオフィスのムードに合わせたコーヒーを抽出するマシンが登場するのは、時間の問題といえるだろう。

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