働き方

話が違う!ブラック求人に騙されないために知っておくべき5つの知識

投稿日:2016年10月6日 / by

「まぁいいや」、が後々大きなダメージに…

社会構造の変化に伴い、人材流動化が加速している。就職・転職シーンにも新しい風が吹き始めている。一方で、人材不足もあり、企業の求人票に詐欺まがいの虚偽記載をする事例が後を絶たない。大手IT企業でもネット上で“告発”があるなど、求人詐欺被害は企業規模に関係なく増大している。人生の一大転機となる就職で後悔しないために、求職者はどこに気をつければいいのか。専門家の意見などを交え、ポイントや心構えをまとめてみた。

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ハローワークの求人票の記載内容に関係する求職者からの申し出・苦情等の件数は2015年度で1万937件。具体的な要因のトップは「求人票の内容が実際と異なる」で36%。2位が求人者の説明不足(23%)。具体的な内容としては、賃金・就業時間に関することを合わせ、43%となっている。求職者にとって、企業選びの基本となる求人票で、顕在化しているだけでこれほど苦情が集まる実態は、看過できるものではない。どうすれば、こうした“罠”から逃れられるのか。

まず募集要項をみる

若者の雇用問題を専攻する法政大学キャリアデザイン学部教授で同大大学院キャリアデザイン学研究科教授の上西充子氏は次のように指摘する。「学生の就活に関わることもあるが、彼らは面接の方法や企業研究には熱心だが、募集要項は軽視している。書いてあることを理解し、説明会などにも常に持参するくらいの慎重さが必要だ」。募集要項には初任給や就業時間、雇用形態が記載されているが、中には不十分なものもある。入社後に、記載内容と違うことも珍しくないという。そうしたことの対策として、募集要項についてはシビアになり、それを軸に企業を評価してもいいと力説する。

内定段階で契約書を確認する

募集要項の確認に関連し、「少なくとも内定段階で、契約書をみせてもらいたい旨を伝えるべき。もしも、入社後に募集要項との違いが発覚しても就活をやり直すわけにはいかない。見せてくれないなら内定を辞退してもいいくらいだ」と上西氏は助言する。学生にとっては、せっかくもらった内定。契約書の閲覧を要求することで心証を悪くするとの懸念もあり、言い出しにくい側面が強いだろう。とはいえ、就職は学生にとって人生の一大転機。重要な書類をみせないという企業姿勢は、仮に就職したとしても、長期的に信頼関係を築けるのか、という疑念にもつながる。上西氏のアドバイスを真摯に受け止めることがスマートといえる。

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インターンシップに積極参加する

実際の職場を知らずに、求人情報だけで就職先を決めるのはあまりにもリスクが高い。なぜなら、求人情報にはいいことしか書かれていないからだ。匿名掲示板などに“実態”が記載されている場合もあるが、退職者による憎しみが込められていることもあり、せいぜい参考程度。一番確実なのは、本丸に乗り込み、内側から企業を知ることだ。新卒一括採用を見直す企業が増える中、企業のインターンシップはこの5年で約11倍に増大している。企業としても、文字情報より肌感覚でフィットするかを見極めて欲しいという表れだろう。疑問や不安があれば直接体験し、聞いて、納得した上で入る方がいいに決まっている。

ワークルールを学ぶ

ブラック企業やパワハラが問題視されるようなって久しい。悪いのは言うまでもなく企業やハラスメントをしてしまう人間だが、被害を受ける当事者も無防備すぎる面は否定できない。働く現場には、労働時間や解雇など、関連する法律やルールがある。あまりに無知だと、やられるがままで泥沼にはまり込んでしまいかねない。こうしたことへの問題意識から日本ワークルール検定協会がワークルール検定を実施している。知は力なり。ビジネススキルも重要だが、労働者として気持ちよく働くためにも最低限の理論武装も必要だ。知っているだけで、防げるトラブルもある。社会人のステップゼロとして、身に着けておいて損はない。

1人で悩まず相談する

求人に関するトラブルでは、被害者でありながら、そうと気づかず就職するケースも少なくないという。正社員のつもりが入ってみたら派遣だった、というウソのようなホントの事例もある。求人票の虚偽も誤差と認識したり、入れたからよしとする風潮が根強いようだ。しかし、これでは悪質な求人詐欺が横行することを手助けこそしても、撲滅にはつながらない。しっかりと当事者意識を持って、声を挙げることが大切になる。ハローワークの求人ホットライン(03-6858-8609)、連合の労働相談ダイヤル(0120-154-052)などは、求人トラブルの相談を随時受け付けている。もっと手軽にSNSを活用するなら連合が期間限定で求人トラブルの募集している(2016年10月7日~10月31日:http://www.jtuc-rengo.or.jp/info/event/20161006)。こうしたところへ投稿・相談することは、法改正などにつながる一歩にもなるので、1人で悩まず、アクションしてみよう。entry3

◇ワンポイント解説◇

求人票関連のトラブルが後を絶たない背景には、抜け穴だらけの職業安定法がある。長らく改正されてこなかったこの法律が、来春の改正へ向け、動き始めている。だからこそいま、求職者が求人トラブルの問題に前のめりになり、被害を受けた人は当事者として声を挙げる必要がある。改正へ向け、違反行為をした企業の名前を公表する案や求職者情報提供事業社にもルールを策定する案などが挙がっている。終身雇用制が崩壊し、労働者は入った会社に定年までいられる保証はなくなった。だからこそ、雇用契約に対し、いまこそシビアに向き合う姿勢が求められる。

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