働き方

中途入社後活躍できない人にありがちな三大特長とその処方箋

投稿日:2016年10月20日 / by

有能なハズの人材がなぜ、不完全燃焼で終わるのか…

人材流動化が加速する中、転職市場が活況だ。一大決心の末、新天地で活躍できれば、ビジネスパーソンとしての自信も強固になる。だが、自信満々で転職に臨みながら、期待外れに終わる人材も少なくない。なぜ、経験やスキルがありながら、不完全燃焼に終わってしまうのか…。その傾向と対策を、中途入社者のための早期活躍セミナーなどで講師を務めるエン・ジャパンの越田良氏に聞いた。

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入社後失速する人に共通する特長とは

中途入社する人材は、当然、前職での実績がある。そこを買われたからこそ、新天地のイスの確保できたのだろう。そのレベルはともかく、それなりの実績と自信をもって転職先の門をくぐっているハズだ。一体なぜ、そんな人材が、期待を裏切るような結果に終わってしまうのか。越田氏はズバリ言う。

「“採用時点でのミスマッチ”で、個人の能力と会社の期待がずれていたり、個人の期待と会社の実態に相違があったり、というケースがほとんどです。まずは、入社前に相互で適切な情報出しをして見極める必要があります。それでも入社後になかなか活躍できず、くすぶってしまう場合。いろいろなパターンがありますが、大きく言えば自己認知がきちんとできていない人でしょうか。自分のやれること(Can)、やりたいこと(Will)の二軸で考えた時、やりたいことが明確でも、やれることが分かっていないと弊害が生じやすい」。転職を考えるような人材なら、自分のやれることはしっかりと認識していそうなものだが、実は分かっていないケースが多いというのは意外ではある。

この大前提を踏まえ、入社後失速する人の特長をいくつか挙げてもらった。

1:自分のやり方を曲げない

このタイプの一番の問題は、組織の輪を乱すこと。その結果、新しい職場で協力を得られず、孤立。力を発揮する以前に、浮いてしまい、どんどん事態を悪化させる。自己を客観視できていれば、周囲との連携にも頭が回るのだろうが、出来ていないため、空回り。スキルには自信があるケースが多いため、実績さえ出せばと頑張るものの、孤立無援ではもはや全てがうまくいかない…。

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2:何事もネガティブに捉える

自分に自信がなく、負け犬根性が染み込んでいる人は、遅かれ早かれ失速する運命にあると言わざるを得ない。そんな人材がなぜ、面接を通過したのかは疑問だが、スキルが抜けるほど優れていたりする。ところが、それを活かしきれない。最初はよくても、時間とともに周囲の目も厳しくなる。そうなると、よりナーバスになる。結果、周囲をも暗くしてしまう。過去の成功体験が少なく、数少ない成功体験をうまく捉えていれば活かせる経験もあるはずだが、そこへ意識が向けられず、うまくいかなかったことばかりが心の中に残っている。これでは、活躍などできようもない…。

3:全てを他の責任にする

自信を持って取り組む点では、可能性のあるタイプといえる。だが、うまくいかなかったときに責任を外的要因してしまう。「前職はこのやり方でうまくいった」。「会社が悪い」。「メンバーが悪い」…。これでは、周囲の共感を得られるわけがない。なによりも、アマチュアの仕事の仕方と言わざるを得ない。自分のやり方があっても、まずは新しい会社のやり方を尊重し、その上で、より良いものができると確信できれば自分のやり方を提案する。それくらいの姿勢でなければ、自滅するだけだろう。

ココに挙げた3つの特長は、「そんな人材、転職以前では」と思うかもしれない。だが、こうした人材も選考を通過し、転職を成功させていたりする。中途活躍セミナーでのごくまれなケースとして、越田氏がこんな事例を明かす。ある受講者が講習に遅刻。越田氏に、遅れてきたからそれまでのことを始めから説明してくれと要求したという。企業が用意したセミナーに遅刻した上に、その講師に対する横柄な態度。自己認知というより、状況認知ができない残念過ぎる人材だ。それでもスーパーなスキルを持ち、転職先で戦力になっていればいいが、おそらく難しいだろう…。

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同社が実施する中途向けセミナーでは、メインはスキルではなく、自己認知や心構えの部分となっている。転職を成功させているだけに、スキルはそれなりに持っている。むしろ、それを発揮するための基本的な心構えが、意外に軽視されていたりするケースが多いことなどがその理由だ。その上で越田氏は、中途入社で活躍するための極意を次のように明かす。

中途入社で活躍するための極意

「新しい職場で活躍する上でまず取り組んでほしいのは『馴染むこと』。中途で入社した人はどうしても早く結果を出そうとか、いかに働きぶりを示すか、影響力を与えるかに注力しがちです。しかし、大事なことは、いかに馴染むかです。そうすることで周囲の理解や協力を得られ、実力も発揮しやすくなります」。即戦力というが、社員として合流する以上、組織の一員として認められなければ、スキルは十分でも“戦力”にはならない。この辺りをしっかり認識しておかなければ、何度も転職を繰り返すことにもなりかねない…。

同社では、簡単なようで難しい、自己認知を可視化するサービスの提供もスタート。入社後活躍支援を重視する人材企業として、そのライナップを充実させている。

人材市場は、新卒一括採用を廃止する動きがじわじわ広がり始め、中途入社の位置づけも変わりつつある。転職組は、実績のない新卒組より分があるハズだが、組織で働くという基本をなおざりにしていては、フレッシュな方が扱いやすいと、企業からそっぽを向かれる可能性もある。転職に動く前に、まずは自己認知。中途入社後に能力を存分に発揮し、活躍するためには、スキル磨きも大事だが、そこを徹底することが肝要といえそうだ。

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