
人工知能で営業成績アップを実現したらどうなるのか…【瓦の目】
人工知能はTPOが重要です
プロ棋士が将棋ソフトを不正に使用した疑惑がもたれ、棋界が揺れている。その真偽は不明だが、今後、人工知能を巡るこうした問題が、あちこちで起こる可能性がある。将棋は究極の人智バトルだから、本当だとすれば明かな不正で罰せられるべきだが、職場ならどうだろう。
ある営業マンが、突如、トップクラスの成績を達成。それまでは下位を這っていた人材だ。実は密かに商談成約アップを実現する人工知能ツールを活用していたーー。あくまで架空の話だが、十分に考えられる展開だろう。この場合、その営業マンは不正をしたことになるのか…。ツールの使用が法に触れない範囲なら、むしろ評価を高めることになるかもしれない。
業務効率化を超える貢献をどう捉えるべきか…
ただし、そうなると何が起こるのか。企業は、その人物を一瞬は評価するが、次にはそのツールを会社として購入し、全社員に活用させることになるだろう。営利を追求する企業にとって、重要なのは、どうすれば売り上げアップを実現できるか。使った人物よりも、成果をあげることに貢献したツールを重要視するのは当然だ。
人工知能が仕事を奪うという議論が止まない。奪われる仕事もあるが、新たに仕事ができる。だからそれほど不安視する必要はない。それが一般的な見解だ。先の事例にあてはめれば、営業マンは、人智を尽くす商談スペシャリストから、“商談達成人工知能ツール取扱者”となるワケだ。確かに仕事はなくならない。しかし、大事な何かが失われている気がするのは気のせいだろうか…。