働き方

転職に人工知能が絡むとどんなメリットがあるのか

投稿日:2016年11月11日 / by

<本当に必要なのか? 間違えたくないビジネスAIツール選び>

AIツール図鑑vol.2

進化するAI転職の可能性

チェスや将棋で示された“強さ”、医学分野での治療の可能性を拡げる革新性…。目覚ましい進化を続ける人工知能(AI)は、さまざまなジャンルに驚きをもたらしている。転職希望者と企業の思惑が交錯する転職活動。もちろんこの分野もAIが絡めば、飛躍的な変革が起こる可能性を秘める。2014年末にリリースされた、人工知能搭載の20代向けのレコメンド型転職サイト「キャリアトレック」の進化とともに、AI転職の可能性を探るーー。

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キャリアトレックは、当初、転職希望者に企業を紹介し、その選別傾向などから、ユーザーの希望を推測。まだ十分に自身のキャリアを認識しきれていない20代後半の求職者に、膨大な企業情報の中から転職先をイメージさせるAI転職ツールとして誕生した。求職者が活用するほどに精度が高まるため、通常の転職サイトより能動的に活用され、AI転職アプリとしての認知も定着。ユーザーからの評価も高い転職ツールに成長した。

AI搭載転職アプリの新機能が示す人的転職との差

2016年10月、このキャリアトレックに新機能が搭載された。今度は、企業側の人事担当者に、AIが募集ポジションにマッチする人材をレコメンド。転職希望者がサイトを活用するほどにその精度が上がったのと同様、企業の採用担当者が選考活動を行うほど、「求める人材」に近づけることになる。

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キャリアトレックの新機能を解説する鈴木氏

「今回の新機能によって、例えば求職者が求人に応募等のアクションがない場合も、企業側の選考活動に応じてAIが求職者をレコメンドするので、潜在的にマッチしている人材へのアプローチや掘り起こしにつながると考えています。企業側にとっては、ターゲット人材を検索したりする膨大な労力を削減することにもなります。本機能のβ版では、キャリアトレックの既存スカウトメールとのマッチング比でその精度が5倍高くなることが分かっています」と同社プロダクト開発統括部統括部長の鈴木康弘氏はその効果を説明する。

転職活動では、現在の仕事内容をそのままに会社だけ変わる場合もあれば、いまは違うが以前から興味のあった職へ変わるケースもある。これまでのキャリアを経て、新たな職の可能性を模索しているという人もいるだろう。そうした、求職者の微妙ながら多様な変化をデータとして着実に拾うことで、キャリアトレックはレンジを確保しつつ、高い精度の転職レコメンドや新たな気付きを転職希望や求人企業双方にもたらす。

AIが転職に絡む最終形とは

今回新たに加わったレコメンドエンジンでは「経験職種による求人」や「書類合格しやすい求人」といったものもある。これは、同社が累計4,200社以上の企業に利用され、公開求人数9万件以上の実績を網羅的に紐づけ、そこから発生する各種データを最大限に活用しているからこそといえるだろう。こうしたレコメンドがあれば、求職者は従来なら応募していなかったかもしれない企業や職種へ踏み出すきっかけとなり、硬直した転職活動に風穴を開けることも期待でき、労働市場の人材最適化は加速する。

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現状のマッチング精度については「目指す世界には、まだまだです」と明かす鈴木氏だが、一方で「いわゆる登録型の人材紹介におけるエージェントは確かに非常に有効です。しかし、人に依存する部分も大きい。それを公平で平等にするためにキャリアトレックが貢献できればと考えている」と究極の目標を明かす。

AIによるレコメンドの精度が限りなく高まれば潜在的なニーズを掬うことにもなり、人材市場は限りなく最適化に近づくことになる。同時に、求職者、企業側ともに転職に絡む時間を削減でき、求職者は自分探しや磨きに、企業の人事担当はより働きやすい環境整備などに浮いた時間を充てることができる。

転職においては、現状に失望してのものがあれば、さらなる成長を目指すものもある。企業にとっては、なによりも自社にフィットする人材を確実に採用することが永遠の課題だ。そうした思いや思惑がうまくクロスし、成就すれば、そこには活力がみなぎる。AIが転職に絡むことに最終形があるとすれば、それは人材最適化を強力に推進するツールへの進化であり、その結果として日本企業の底力を引き上げることといえるだろう。

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