働き方

なぜいま、ママWEBクリエイターが増殖しているのか

投稿日:2016年11月17日 / by

子育て退職後の新しい選択肢として急浮上

働くママの就労情勢に大きなうねりが起こっている。結婚→出産→子育て→退職という流れの先に、<学び→スキルアップ→いつでもどこでも働く>が加わり、スキルを武器に自由に長く“自立系働くママ”が急増しているのだ。とりわけ、WEB分野へ流れるママ人材が増加している。その背景には何があるのか--。

制作実績をプレゼンするママ人材

制作実績をプレゼンするママ人材

ステージに立ち、聴衆の前で、自身のキャリアやスキル、作品などをアピール。その姿は、ママとは思えない堂々とした佇まい。発表内容も熱気に満ち、その質も高いものが続いた。企業の採用担当者なら思わずスカウトしたくなりそうな見事なプレゼン力だった。

実はコレ、デジタルハリウッドSTUDIOが開講する「WEBデザイナー専攻 主婦・ママクラス」の受講生および卒業生が、企業にその成果や実績をアピールする「主婦・ママクリエイターズオーディション」のワンシーン。同校では、学生向けには半年に一度でペースで開催している就職マッチングイベントで、主婦・ママ版としては今回が初開催となった。同校で腕を磨いたWEB業界への就職を目指すママ12人が、人材を求めて参加した30社が見つめる中、大舞台に臨んだ。

 なぜ、WEBスキルを習得するママが増えているのか

プレゼンに臨んだ人のほとんどは就業経験があり、子育てなどを機に退職やフリー転身を果たしている。こうしたママ人材がいま、再就職でWEB業界へ流入する動きが加速している。デジタルハリウッド(株)広報室主任の川村めぐみ氏はこうした状況について、次のように分析する。「デジタルハリウッドの主婦ママクラスは地方も含め、順調に受講生が増えています。育休を利用してのスキルアップ目的や転職やジョブチェンジを視野に入れている方もおられます。WEBの仕事はまだまだ将来性がありますし、どこでも仕事ができる点などがママには都合がいいのかもしれません」。

同イベントをサポートした「しゅふJOB」を運営するビースタイル広報の柴田菜々子氏は、主婦・ママへのWEB求人の状況を次のように解説する。「ここ1、2年で特にWEB系の求人が急増しています。それもバナー制作レベルでなく、本格的なスキルが求められるような案件です。そうした人材は正社員でも確保が難しくなっているので、主婦ママにも求人が流れてきているのかもしれません」。

人材市場のこうした需給の合致もあり、意識の高いママを筆頭に、転職を視野に入れたスキルアップとして、WEBスキルを学ぶ主婦が増加。そこへ女性活躍の動きや人手不足が重なり、ママWEBクリエイターの増殖につながっているようだ。

WEBデザイナーやプログラマーの仕事の特性もママとの親和性があるといえる。出勤しなくても業務対応がしやすく、子育て中でも在宅で取り組めるなどの柔軟性は、物理的制約の多いママにとっては都合がいい。加えて、一般的なパートでは時間の融通はできても、高い単価を望みづらく、それまでに培ったキャリアを十分に活かせないもどかしさがある。そうした中で、人手不足という追い風も吹いている。ママ人材にとって今、WEBスキルの習得は、再就職への付加価値という点でも、狙い目なのだ。

プレゼンが終わるとそのまま“商談”に臨んだママ人材

プレゼンが終わるとそのまま“商談”に臨んだママ人材

ママにピッタリのいつでもどこでも働ける働き方

プレゼンに臨んだママ人材の多くは「どこに住んでいても働けるクリエイターになりたい」と口にした。出産、子育てを経験したママにとって、再就職にあたり、物理的な不安払拭は当然、最優先事項となる。前職が大企業勤務という人も多いが、WEBクリエイターとしての自立した働き方は、ライフスタイルを大きく崩すことなく就労を続けられ、十分な魅力があるようだ。

女性活躍を推進する流れで、働く女性の意識は着実に変わりつつある。共働きはスタンダードといっていい状況だ。だが、男性の育児参加を含め、まだまだ女性の就労継続の環境は十分といえない。そうした中で今後、より働きやすい「職種」をベースにした、いつまでも働き続けられる仕事選びが、働きやすい会社選びと併行し、ママ人材にとっての重要な要素として、クローズアップされそうだ。

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について