働き方

受ける側が仕事の単価や質を評価することで働く環境はどう変わるのか

投稿日:2016年12月9日 / by

クラウドワークスがフリーランスの働く環境向上施策を発表

これも新しい働き方へシフトする過渡期の産物といえるのかもしれない。(株)クラウドワークスはさきごろ、登録ワーカーが、仕事の単価や質を評価できる「お仕事評価機能」を2016年12月12日から開始することを発表した。働く現場の声をしっかり受け止め、フリーランスの働く環境の向上を目指す。

開発中のお仕事評価機能のイメージ画像

開発中のお仕事評価機能のイメージ画像

同機能は、クラウドソーシングで同社が提供する仕事に対し、価格が適正か、不当な依頼や知的財産権侵害のおそれはないかなど、仕事内容をユーザーが評価できるもの。企業としてのクラウドワークスによる目と実際に仕事を受けるワーカーの目をすり合せることで、健全な仕事環境実現へアプローチする。

同機能の設置は、DeNAのキュレーションサイトで虚偽や知的財産権の侵害が発覚。こうした作業の下請けとして、クラウドソーシングからも大量の案件を請け負っていたことが背景にある。受ける側は仕事として、マニュアル通りに作業をしても、結果的には悪事に加担したことになる。そうした問題解決のひとつの策として、同機能は追加された。

 モノ言える労働者によって、どこまで不当依頼は減るのか…

“職場環境改善”という観点からみても、今回の取り組みは画期的だ。クラウドワークスの登録ワーカーを非正規のスタッフとみるなら、そのスタッフに仕事の価値や質を物申す機会を与えることになるからだ。「この仕事、相場に比べ安すぎます」。当たり前の提案だが、請け負う側は何も言えないのが、悲しい現実。そこに発言権を与えるのは、企業と従業員の関係で考えれば、英断といえるだろう。

それだけ同社が、今回のDeNA問題に危機感を感じている裏返しといえるが、効果はかなり限定的となりそうだ。なぜなら、もの申す以上、それに見合ったアウトプットが求められるからだ。ライティングの場合、いわゆる相場を紙ベースにするのかWEBベースかでもかなりの差がある。加えて、まともな文章を書けるライターは、そもそも不当に安い案件は受けない。その辺りのバランスを取りながら、登録ユーザーと依頼価格の適正なマッチングをするのは極めて困難だ。

その意味では、今回の取り組みは依頼側への不当オファー抑制に少しは貢献するかもしれない。これまでは、いいように買いたたかれていたフリーランスの相場が、少しは改善されるだろう。一方で、クラウソソーシングが抱える本質的な問題。つまり、2016年12月現在で110万人を突破するユーザーの仕事人としての質の底上げ、という課題をこれまで以上に追求する必要に迫られることは避けられないだろう。

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