働き方

2017年は、求人市場の主権が働く側にシフトする

投稿日:2016年12月13日 / by

2017年のトレンド予測。来年の各領域の傾向は

充実ライフは自分で掴む。(株)リクルートホールディングスは2016年12月13日、「2017年のトレンド予測」を発表。社会人学習、キャリア、アルバイト・パート飲食などグループの全8領域の担当者が、来年の傾向を予測した。そこからみえてきたのは、仕事と私生活のバランスのとり方の大変化だ。

少子高齢化で人材流動化のますますの加速が予想される中、キャリア領域の2017年を予測したリクナビNEXT編集長の藤井薫氏は、キワードとして「ライフフィット転職」を掲げた。その名の通り、私生活に合わせた転職の増大だ。

ライフフィット転職をキーワードに2017年のキャリア領域を予測した藤井氏

ライフフィット転職をキーワードに2017年のキャリア領域を予測した藤井氏

「少子高齢化によって、労働人口は減少しています。加えて、育児や介護等の制約を抱える社員が増加しています。そうなると、企業は、人材の確保はおろか、獲得さえ困難になります。つまり、構造的に求人市場の主権が企業から個人へとシフトするのです」と藤井氏は解説する。

会社員でいえば、社員はあくまでも企業が提示する条件に合わせるのが義務に近いものだった。ところが、これからは、求職者が仕事と生活のバランスを考慮し、能動的に個別の勤務条件を交渉する時代になるということだ。その予兆として、リクナビNEXTの検索キーワードも「高収入」が減少する一方で、「残業」や「在宅勤務」が急上昇しているという。求職者の価値感も大きく変化しているのだ。

こうして、求人市場の主導権が個人に移ることで、アルバイト・パートにもその余波は及ぶ。深刻な人手不足が背景にあるものの、人材確保が困難な企業は、とにかく人員を確保し、出来る人でフォローする体制を取るというのだ。ジョブズリサーチセンター・センター長の宇佐川邦子氏は、そうした状況をパズルワーク、「パズワク」と表現する。

「従来のレベルでの採用が難しくなる中で、企業は、何でもできそうな人だけでなく、個人のありのままを受け入れ、足りない部分があれば、個々の力をパズルのように組み合わせ、補い合う職場づくりへとシフトしつつあります」。これまでは、人手不足でも不採用は多発したが、これからは、必ずしも能力や労働条件だけに頼らない採用も増えていくということだ。

 働き方の変化から波及し住まいや学びにも変化が

時間的制約があることでこれまでは就職が難しかった層が職場に増えていくことで当然、主婦層の職場流入も増大する。そうなれば比例して増えそうなのが育メンだ。すでに男性の育児参加は、当たり前の風潮となりつつある。だが、現実はまだまだというのが実態だ。それでも着実に男性の育児参加は増加している。博報堂の調査では男性の育児参加意識は8割を超えている。

そんな中、来年のトレンドとなりそうなのが、「子けいこパパ」だ。ケイコとマナブプロデューサーの廣田知子氏は「子育て参加がきっかけとなり、父親たちが学び始めています。育児の時間が自分が楽しめる時間に変わるのです」と予測する。こどもを稽古に送り迎えすることで、自らが触発され、子供と一緒に学びを再開する動きが加速するというのだ。
来年の住まいのトレンドを「リア充家族」と予測するSUUMO池本編集長

来年の住まいのトレンドを「リア充家族」と予測するSUUMO池本編集長

私生活の変化は住まいにも及ぶ。SUUMO編集長の池本洋一氏は、リビングルームの変化を予測。そのキーワードは「リビ充家族」。「リビ充とはリビングの充実。今後、リビングを最大限に広げ、空間は共有しつつ、各々が好きに充実した時間を過ごす家族が増えていきそうです」と予測。その理由は、都心回帰や駅近志向などを背景に、共働き、テレワークの拡大などの社会構造・働き方の変化があるという。

忠誠心や高報酬といった呪縛から解き放たれたビジネスパーソンが、自らの意志で、自らの都合に合わせつつ、うまく会社と折り合いをつける。その上で、拡大する私生活の時間を効果的に満喫する。新しい働き方へのシフトによって起こる地殻変動で、24時間の時間配分も大きく変化していくことを予感させるような2017年のトレンド予測となった。

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