働き方

仕事選びの基準が「お金」にならない確かな理由

投稿日:2017年1月23日 / by

変人・安田の境目コラム

お金になることを優先していた時、なかったもの

お金になる仕事と、お金にならない仕事。大きな利益に繋がる仕事と、小さな利益にしかならない仕事。効率の良い仕事と、効率の悪い仕事。前はそういう事ばかり、考えていました。社員は200人以上もいる。社長として、無駄な動きはできない。お金になる事だけに、時間を集中させる。

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間違っていたとは、思いません。ただただ、余裕がなかったのです。無駄な動きをしている余裕がない。お金にならない仕事をしている余裕がない。でも本当になかったのは、お金ではなく心の余裕だったのです。

会社が潰れて、社長ではなくなって、社員もいなくなって、余裕ができた。そうなるはずでした。でも、そうはならなかったのです。全くやる気が出なくなりました。時間はあるのに、やる気が出ない。やるべき事はあるのに、やる気が出ない。生活のため、お金のため、自分のため。そんな理由では、やる気が起きなかったのです。

とはいえ、生活しなくてはならない。お金を稼がなくてはならない。だからお金になる事をしました。家賃を払うため、飯を食うため、生きるため。

お金にならない仕事がお金になるという事実

一体、何のために働いているのだろう。仕事とは何なのだろう。そういう疑問が、沸々と沸いてきました。約三年間、私は悶々としながら稼ぎ、生きていたのです。相変わらず生活にゆとりはありませんでした。仕事を選んでいる余裕など、私にはなかったのです。でも同じ仕事を続ける気には、なれませんでした。何かを変えなくてはならない。それだけは確信があったのです。

私は社長に復帰する事にしました。そしてそれと同時に、お金にならない仕事をしようと決めたのです。お金はもらえないけど、誰かの役に立つ仕事。

きっと、自分自身の存在価値を、信じられなくなっていたのだと思います。お金にはならなくても、必要とされれば全力を尽くす。それによって自分自身の価値を、再認識したかったのです。

もちろん、お金も稼がなくてはならない。だから全体の30%だけ、お金にならない仕事をしました。お金にならないけど、喜ばれる仕事。お金にならないけど、役に立てる仕事。そうやって気がついた事。それは、お金にならない仕事が、お金になってしまうという事実。お金になるかどうかは、自分では決められないのです。つまりお金は、仕事を選ぶ基準にはならない、ということなのです。


<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
yasuda21965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

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