働き方

新卒採用再構築を目指す人材企業が徹底してリアルにこだわる理由とは

投稿日:2017年1月24日 / by

若者離職率の低さの元凶に向き合う人材企業の取り組み

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新卒入社の3年離職率が長らく3割前後で推移している。原因は情報格差ともいわれるが、この問題に真っ向向き合う人材企業がある。人材ベンチャーの(株)リアライブだ。早期採用のパイオニアであり、「新卒採用再構築企業」を標ぼうする同社の取り組みは、あえて最先端テクノロジーの活用とは一線を画すリアル重視の超アナログスタイル。その狙いはどこにあるのか…。

赤字覚悟で格安就活シェアハウスを構える理由

都心好立地の3階建ての新築物件。ここで寝泊まりするのは、就活中の地方学生。いわゆる就活シェアハウスだ。ホスト役は、同社のインターン。地方学生は、なんと一泊目無料で利用できる。2泊目以降も1日2000円の破格値だ。2016年春にオープンしたばかりだが、ジワジワと評判が広がり、地方学生の格安就活拠点として利用者が増加し始めている。

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一階は女子、3階は男子専用(写真は男性部屋)。格安だが新築で清潔感も抜群

「ここをオープンしたのは、地方学生のお金の問題を解消したいと思ったことです。就活においてお金の悩みは一番つらい。いまはネットを活用すれば、地方でもそれなりの情報収集は可能ですが、私どもはリアルへのこだわりがありますし、ここでの地方就活生と弊社インターンとの交流などから気づきも生まれてくると考えています」と同社人材コンサルティング事業部兼経営企画室マネージャーの中村俊一氏は説明する。

決して安いとはいえない立地。しかも新築。格安での提供は、大きなコスト負担となる。「宿泊だけでいえば完全に赤字です。しかし、リアルな人の動きにある価値は大きいですから」と中村氏は、リアルへのこだわりを強調する。

ネット時代だからこそ重要なリアル

「人材企業はたくさんありますが、ITを中心にした人材会社はあくまでIT企業。我々は“人材”会社の自負がある。だからリアルを大切にしています。なぜなら、言葉の影響力はすごいですが、誰がどんな温度感で伝えたかが何より重要。ネットを通しての文字情報だけでは伝わらない」と中村氏は熱く語る。年間300近いイベント開催でも十分といえるが、生身の学生が集う就活シェアハウスの運営もまた、あえてネットに甘んじることなく、リアルにこだわる同社の考えを象徴するもののひとつといえるだろう。

採用支援におけるスタンスを語る中村氏

採用支援におけるスタンスを語る中村氏

一度に大量の情報を収集でき、国内はもちろん、世界中の情報も効率的に集められるインターネット。低コストで効率的な地方学生の就活サポートへの応用も十分可能だ。だが、同社ではそうした利便性への傾倒が若者離職率を高める大きな要素と分析する。だからこそ、あえて赤字覚悟でもリアルな宿泊先の提供にこだわる。

リアルこそが増幅する言葉のチカラ

ホスト役のインターン生の一人は、地方就活生の印象について「熱量がすごい」と明かす。ネット上の情報収集のみで、他の学生の就活動向を探る程度では得られない貴重な“情報”といえるだろう。こうした温度を感じるからこそ、インターンもホスト役としてさらなるサービス向上に頭を巡らす。そして、自らの就職観の肥やしとする。こうしたプライスレスな相乗効果は、実は同社が採算度外視で就活シェアハウスを運営する真の狙いだったりもする。

コミュニケーションフロアとなる2階にはホスト役のインターンが待機。テレビはなく、じっくり団らんできる空間となっている

コミュニケーションフロアとなる2階にはホスト役のインターンが待機。テレビはなく、じっくり団らんできる空間となっている

「キツネと狸の化かし合いのような就職面接で適性を見極められるわけがないんです。学生は猫を被り、企業は情報を盛る。そんなことで、入社後、目を輝かせて働く若者が増えるはずがありません」と中村氏。人と人が内面をさらけだしてぶつかることからしか本当の情報得られない。そうした信念が、同社の就活事業全体に貫かれており、それが、超アナログな採用支援となり、ユニークなサービスに落とし込まれる。

マッチングイベントでは就活生だけでなく企業も評価

例えば、同社のマッチングイベントのひとつ「JobTryout」は業界初のゲームを用いたもの。経営層が行うレベルの難解なビジネスゲームにより、就活生の潜在的な能力・価値観を見極め、精度の高いマッチングを実現する。ユニークなのは、学生の評価はもちろんだが、企業側の評価も行う点。これは、就活で企業が必ずしも主導権を握るものではないという、同社の常識に捉われない価値感を反映した仕組みといえる。

追い込まれた状況を見極めるジョブトライアウト。学生の素を引き出す。

追い込まれた状況を見極めるジョブトライアウト。学生の素を引き出す。

「最近の若い子はいろいろな面で優秀だと思います。モノをよく知っている。素材はいい。でも、知っているだけ。やはり、まずやらないと。行動です。だから、『JobTryout』では、難解な課題でパニックった時にどんな対応をするのかを見極めます。表面的なやり取りに終始する通常の面接では到底見れない部分だと思います。不快な思いをする人もいるので賛否もありますが、それくらいだからいい」(中村氏)。

就活生が見落としがちな盲点を指摘する支援スタンス

就職戦線は、今後も少子化で売り手市場が続きそうだが、それがイコール希望企業へ行きやすくなる、とはならない。ネットなどで公開されている情報から企業像を調べ尽くすだけでなく、足を使って行動を起こす。インターンとして内側に入り込むのはもちろん、ダメもとでも希望企業へ直接質問してみるのもいいかもしれない。加えて、自身がどんな仕事に興味があり、そこで何ができるのかをシミュレーションすることも重要だ。

本当にいきたい企業があるなら、それを実現するためにやるべきことはいくらでもある--。徹底してリアルにこだわる同社のスタンスからは、ネット時代の盲点がいい具合に透けている。そこには就活生が就活の質を高め、入社後、イキイキと働ける職場と出会うために学べることが無数にありそうだ。


【会社概要】
新卒採用コンサルティング、人材育成コンサルティングのリアライブ会社名:株式会社リアライブ
設立:2012年4月2日
資本金:1,000万円
役員:代表取締役  柳田 将司
取締役    鶴野 敬文
所在地:本社 東京都港区六本木1-7-27 全特六本木ビルWEST棟7F
大阪オフィス 大阪府大阪市北区大深町3-1
グランフロント大阪 ナレッジキャピタル8F
事業内容:新卒採用コンサルティング事業、新卒マッチングイベント事業、新卒紹介事業、ソーシャルリクルーティング事業、メディア事業、上位学生説明会動員事業、組織変革・人材育成コンサルティング事業、大学・行政向けキャリア・就職支援講座の企画運営

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