
退職後でも間に合う!未払いの賃金を取り戻す方法
働いていた側からすれば「未払いの賃金・残業代」はやはり払ってほしいから!
コロナ禍の影響もあって、いろいろ雇用が厳しい昨今、会社側も従業員側も大変です。勤め先を辞めることになった人も少なくないでしょうし、その際に、「未払いの賃金や残業代などのことがうやむやのままだけど、社内で周囲との関係が悪化するのも避けたい…」という思いから、未払いの残業代・賃金に対してアクションを起こさず泣き寝入りし、そのまま退職してしまった…という方もいらっしゃるのはないでしょうか。
コロナで会社そのものが無くなってしまったという場合は別ですが、そうではなく、会社は存続していて「未払い賃金・残業代」が問題になっている場合は、実は、会社を辞めてからでも、未払い残業代・賃金を請求できることができることをご存知でしょうか。以下、未払い賃金を取り戻すための3つのステップをご紹介いたします。(powered by シェアしたくなる法律相談所)
ステップ1.消滅時効を確認、場合によっては時効を中断
賃金請求権の消滅時効は2年です(但し、退職手当は5年)。
時効の完成が迫っている場合には、急いで 時効を中断する必要があります。内容証明郵便により支払請求をした上で、半年以内に裁判を提訴するなど、事案に応じて時効を中断しましょう。
ステップ2.証拠を収集し、保全
未払い残業代請求の場合、特に残業時間を証明する証拠(例:タイムカードや勤務記録等)の収集が重要になります。
退職後は、この証拠の収集が難しくなりますので、退職前に証拠収集しておくのが理想です。しかし、始業時刻・終業時刻をメモした手帳やカレンダーでも一つの証拠になりますので、退職後であっても、粘り強く証拠を探してみましょう。
なお、手元に証拠がない場合であっても、証拠保全の手続きを通じて証拠資料を収集することができる場合がありますので、あきらめないでくださいね。
ステップ3.会社へ請求
証拠を基に、未払い賃金の金額を計算して、会社に請求しましょう。
請求の方法には、(1)交渉、(2)労働審判手続、(3)民事訴訟、(4)労働局のあっせん手続など、色々な手続きがあります。どれくらい急いでいるか、どれくらい証拠を持っているか、付加金を請求するかなどを検討の上、どの方法を取るのか決めましょう。
弁護士が内容証明郵便を送付し請求・交渉することで、未払い残業代を支払ってくる会社もありますので、弁護士に依頼することもお勧めです。
会社を辞めた後の方が、妙な気遣いが不要になって、未払い残業代・賃金を請求しやすいということもあると思います。できれば退職前に証拠を収集しておき、退職後もあきらめずに上記を実行して、未払い残業代・賃金を取り返しましょう!
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*著者:弁護士 小澤亜季子(センチュリー法律事務所。「依頼者のお気持ちに寄り添い傾聴すること、なるべく早く具体的な解決策を提案すること、そのための費用がいくらかかるのかを明確にすることを心がけております」)