働き方

うつ病になったら解雇。そんなブラック職場、違法じゃない?

投稿日:2020年10月22日 / by

ひどい扱いで残業続きで、それが原因でうつになったら解雇とか、許せない

藤井聡太二冠の“最年少記録に次ぐ最年少記録”ともいえる快進撃でブームに沸いている将棋界。その最高位に君臨している先崎学九段が数年前に「うつ病」を発症し、その闘病記を『うつ病九段』と言う書籍として出版して話題になったことがありました。

その本を原作とした実写ドラマが俳優の安田顕さんを主役として制作され、この2020年の冬に放送されるという動きもあるようで、この病のつらさや深刻さ、現代社会における問題としての根の深さなどが改めて世に問われることになるかと思います。
“うつ病になったら解雇通知”

当然、一般社会でもうつ病になることがある

一般社会でも、忙しさやパワハラなどによって心のバランスを崩してしまうことが往々にしてあります。いわゆるブラック職場になると、ありえないほど多い残業や上司による暴言などで、うつ病になる人が続出することもあるようです。

通常そのような場合休職扱いとして回復を待つものと思われますが、ブラック企業になると、うつ病で働けなくなった社員に対し、悪びれもせず退職を迫ることがあると聞きます。

酷い労働環境で働くことを強いておきながら、精神の病気を患ったら社員を切り捨てる。これは違法ではないのでしょうか?法律事務所あすかの冨本和男弁護士に見解をお伺いしました。(powered by シェアしたくなる法律相談所

解雇された場合違法ではないのか?

冨本弁護士:「ケースバイケースだと考えます。精神病の発症の原因が会社の仕事にあるのであれば、業務上の疾病ですから、そもそも、療養のための休業期間とその後の30日間は解雇できません(労働基準法19条)。従業員が安心して療養できるようにするためです。

精神病の発症の原因がそれ以外の場合、就業規則の解雇事由として「精神の障害により業務の遂行ができないとき」といった事由が定められているのであれば、解雇の余地があります。

ただしそれでも客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合の解雇は、権利を濫用したものとして無効となります(労働契約法16条)。

精神の病を発症したとしても、精神の障害が軽度であるとか、休職によって回復の見込みがあるような場合、いきなりの解雇は無効となる可能性があります」

ケースによって、「解雇できる・できない」が変わってくる様子。仮に自分がこのような目に遭ってしまった場合は、覆す事ができる可能性もありますので、泣き寝入りせず一度弁護士に相談することお勧めします。

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*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)


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