働き方

私的な会食を経費として計上すると、どう罪になる?

投稿日:2021年3月4日 / by

国家公務員の接待は違法だけど、民間の会社で経費の私的流用はどう?

某省庁の幹部が利害関係のある民間会社から多額の接待を受けていた問題が報道ニュースを賑わせています。とくに国家公務員の接待は国家公務員倫理法などによって禁じられている立派な違法行為です。が、公務員とは関係なく、民間の会社の中で「仕事とはまったく関係のない会食の費用を、会社の経費として計上すると、法律的にどうなる?」ということも気になって調べてみました。

「経費」とは、つまり、業務を遂行する上で必要な費用。会社員の場合、まさに客先との接待費や、出張の交通費、文房具の購入費用などが、それに該当します。

通常、経理担当者などが経費として適切であるかを判断するため、不正が疑われるようなことはできないと思いますが、中には私的な会食であるにもかかわらず、「接待」として経費で落とすケースがあるようです。

また、上手く経理担当の目を誤魔化そうと工作し、経費として金銭を受け取ることもあるのだとか。

このようなことを繰り返す人間については、それ相応の罪に問いたいところ。
そのようなことは可能なのか。法律事務所あすかの冨本和男弁護士にお伺いしました。(powered by シェアしたくなる法律相談所

Q.私用な支出を経費で会社に請求…罪に問うことはできますか?

私的な会食を経費扱いに

A.詐欺罪が成立する可能性があります

冨本弁護士:「結論からいうと、詐欺罪になります。詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させ、その占有を取得した場合に成立します。相手を“だます”という手段によって、相手を“誤信”させ、相手に財物を“交付”させた場合に成立するわけです。

その会社員は、会社からお金をだまし取ろうと思って、会社の経理担当者に対し、私用で使ったお金であり本来会社に請求できないにもかかわらず、接待であったと装って経費の精算を請求し、経理担当者に経費の精算だと誤信させ、お金を支払わせており、詐欺罪が成立するわけです」

経費のごまかしは詐欺罪。立派な犯罪です。絶対に行ってはいけないことだとご認識いただくべきです。

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*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)


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