
1ヶ月で辞める新入社員に会社は研修費用を請求できるか
会社に貢献する前に辞められては、会社側としてはたまらない
4月も下旬に入り、新入社員の皆さんは研修に明け暮れる毎日を送っていると思います。楽しさより、慣れない社会人生活に戸惑うことのほうが多いかもしれません。中には、早くも「聞いてた話と違う」「理不尽すぎる」と退職を考えたくなっている人もいるのではないでしょうか。
学生のアルバイトとは違うため、簡単に辞められるものではないのですが、耐えられないものは耐えられませんから、辞めたいという気持ちが抑えきれないのならば、退職するしかありません。
しかし企業側としては、納得できない感情を持ってしまいます。利益を上げる前に辞められてしまうわけですから、研修費用などを返還してほしいと考えたくなるところ。そのようなことは、はたして可能なのでしょうか?(powered by シェアしたくなる法律相談所)
Q.新入社員が1ヶ月以内に退職した場合、研修費用を請求できる?
A.原則的には難しいところです
労働基準法第16条に賠償契約の禁止として以下のように定められています。
新入社員に研修費用の返還を求める契約をすることはこれに該当しますので、原則的に費用の請求は難しいものと思われます。
また、退職に違約金を設けることは、民法627条の
の規定に反することになるため、新入社員でなくとも、退職時になんらかの請求を行うことは原則的に法律違反となります。ただしその社員の退職によって会社に金銭的な損害が生じた場合などについては、請求できることもあります。
新入社員で1ヶ月しか勤務していない場合はこのようなことはまずないでしょうから、まずありえないといっていいかもしれません。
会社側として請求したくなる気持ちはわからなくもありませんが、諦めるほうが無難といえます。
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*記事監修弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)