働き方

病気で休職したいのに、会社がそれを拒否してきたら

投稿日:2021年7月22日 / by

「働けないなら会社を辞めろ」とまで言われるのだけど、法的にそれはありなのか?

企業では社員が仕事のできないほどの重大な病に冒された場合、「休職」扱いとし回復を待つことがあります。

大企業などでは普通に取り入れられていることですが、中小企業では「休職」を認めず、「体が悪いなら辞めろ」と言われることもあるそうです。

労働者としては、病気になりたくてなったわけではないだけに「休職扱いにしてよ」と思うことでしょう。このように企業が休職を認めないということは許されるのでしょうか?

ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお伺いしました。(powered by シェアしたくなる法律相談所

休職したいのに拒否されたら

「休職」の拒否は許される?

森川弁護士「休職とは法律上の概念ではなく、従業員について労務に従事させることが不能又は不適当な事由が生じた場合に、使用者がその従業員に対し労働契約関係したそのものは維持させながら労務への従事を免除する事又は禁止すること、とされています。

病気の場合には労務従事を免除してもらう、ということになりますが、基本的には就業規則の定めに従うことになるか、会社の裁量、ということになります。

意味としては、労務に従事できない以上、解雇の一定期間の猶予、という意味を持ちます。その意味では「休職規定」の存在が重要です」

つまり、休職は就業規則の定めに従うものであり、法律上の概念ではないため、就業規則に規定がない場合は、当然ながら休職はできないことになるようです。

どうしても休職ができない場合は…

つまり、会社側と休職の交渉をする場合には、まず就業規則をすみずみまで調べて、休業の規定があるかどうかを確認することが有効だと言えます。

就業規則を見ることは労働者の当然の権利ですから、「その文書をみせてください」と申し入れれば、会社側は見せてくれるはずです。
就業規則の提示の拒否は、労働基準法違反となるので、会社側に強く申し入れることができます。

就業規則を見て、休業のことが記されていれば、そこに書いてある内容をもとに会社と交渉を行うことができます。

休業の定めが書いていなくても、会社によっては事情に応じて、個別の例として休業の扱いにしてもらえることもありますが、それはあくまで会社側の判断に委ねられます。
「働けないなら辞めてほしい」などと言ってくる会社の場合は、この交渉には応じてもらえない可能性は高いかもしれません。

その場合には、「年次休暇(有給休暇)を使ってなんとか療養する」、あるいは「病気でも働けるような、負担の軽い仕事内容に変更してもらう(つまり配置換えや部署異動を申し入れてみる)」といったやり方を考えてみる方法があります。

また、もし病気やケガが業務に関わって起きたものであるような場合には、労働基準監督署から労災認定を受けられる可能性もあります。労災となれば、会社から解雇される心配をすることなく、安心して仕事を休んで療養することができます。

ただ、これも、労災の条件が十分に揃っている場合に限られますので、ハードルはそれなりに高くなってしまいますが。

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*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)


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