働き方

好感イケメンのふるまいならセクハラにならないか

投稿日:2021年9月23日 / by

おじさん上司がやったらセクハラでも、イケメン上司だったら無罪扱い?

今はちょっと頻度が下がっているかもしれませんが、それでも世の中では「パワハラ」「セクハラ」問題の報道がつぎつぎと報じられ、一般企業も、政界もスポーツ界も、その責任問題に揺れています。

ここ数年で、ハラスメント問題に関する“社会の目”は、驚くほど厳しくなっていると言わざるを得ませんし、ハラスメント行為に対する国民の拒否反応は、年々強まるばかりです。それでもこうした事案が発生するのはなぜか。ハラスメントに対する認識に原因があるのではないか、という視点から問題を少し掘り下げてみました。(powered by シェアしたくなる法律相談所

イケメンならセクハラにならないか

ハラスメントの定義とは

まず初めに「ハラスメント」の意味を押さえておきたいと思いますが、端的に言えば「嫌がらせ」「いじめ」といった意味を一般的には指します。一般的には加害者が意図的に行った行為か否かを問題にするというより、受け手側が“不快”な思いをしたかどうかが問題視されています。

ネットやテレビ番組などを見ると、「相手が嫌がったら、それはハラスメントに当たる」「イケメンから言われてもセクハラに当たらない」等の発言を見かけることがあります。たとえば、会社で「口紅の色、変わった?」というようなことを言われた場合でも、上司のAさんに言われた場合は「セクハラ」、イケメンの同僚Bさんなら逆に「うれしいのでセクハラに当たらない」といった認識もまかり通っているようです。

しかし、法律家の立場から言えば、これは“大きな誤解”です。その行為がハラスメントにあたるか否かの判断基準は、あくまで【平均的な受け手がどう感じるか】になります。厚生労働省都道府県労働局雇用均等室における指針(「セクシャルハラスメント対策に取り組む事業主の方へ」)において

「男女の認識の違いにより生じている面があることを考慮すると、被害を受けた労働者が女性である場合には「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、被害を受けた労働者が男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を基準とすることが適当です。」

との記載があることも同じ趣旨にもとづくものです。

もっとも、何をもって「平均的」と判断するかはかなり難しい問題ではありますが、被害者にとってAさんは嫌いな上司だから「セクハラ」、一方、イケメンの同僚Bさんに対してはお咎(とが)めなし、というわけにはいかず、あくまでその行為を受けた【一般的な受け手がどう感じるか】が判断基準であるという点を押さえておきましょう。

ハラスメントは、もはや経営問題

ある意味、この“誤解”が、企業内のハラスメント問題を助長しているとも言えます。「自分は部下から好かれている」と勘違いしている上司が「このくらい言っても大丈夫だろう」とした発言により、部下が著しく傷ついているケースも少なくありません。場合によっては、上司によるハラスメント行為が、部下の精神疾患に繋がることもあります。

また、ネット主流の現代社会では、上司の不適切な行為が、SNSなどで瞬時に拡散されてしまいます。それが事実であるかどうかの検証よりも早くその噂が広まってしまうので、書き込みを目にした就活生は、その企業には絶対に応募してこないでしょう。さらに近年は人材の流動化で転職を考える労働者も少なくないため、社内のハラスメント問題が“きっかけ”となって、優秀な社員が辞める理由に使うケースも見受けられます。

つまり、今やハラスメント問題は、重要な「経営問題」なのです。社内にその傾向が少しでも感じられる会社は、優秀な人材を採用できないばかりか、働き手がどんどんいなくなってしまうことになります。コンプライアンス面も含めて、意識を変えていくべきです。

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*執筆/杜若経営法律事務所 向井 蘭(【使用者側専門40年の圧倒的な実績】【市ヶ谷駅徒歩3分】【弁護士9名在籍】【総合力とチームワーク】杜若経営法律事務所は使用者側労働問題の解決に圧倒的な自信がございます。)


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