働き方

無知な職場でありがちな「マタハラ」のパターン4つ

投稿日:2021年9月30日 / by

いまだに公然と行われがちな「違法なマタハラ」の具体例

「セクハラ」「パワハラ」に並んで職場の労働トラブルのひとつとして分類される「マタハラ」。

ご存知のようにこれは、マタニティハラスメントの略で「働く女性が妊娠・出産を理由として解雇・雇い止めをされることや、職場で受ける精神的・肉体的なハラスメント」のことです。妊娠と関わる女性たちを守る法律は整備されているのですが、職場での周知徹底がおろそかになっている場合があり、いまだに無知な(多くは男性側の)マタハラ言動がまかり通ってしまっているようです。

そこで「これは明らかに違法」とされているマタハラの具体例を、日本労働組合総連合会のホームページに掲載された「働くみんなのマタハラ手帳」をもとに、ご紹介いたします。あなたの身の回りで“うっかり”起きてしまっていないか、確認してみてください。(powered by シェアしたくなる法律相談所

マタハラの具体例

「女性の社会進出」のかけ声だけではダメ。仕事の現場から改善を

世の政権がしきりに「女性の社会進出」を叫んでいますが、そのためには女性の出産、育児について職場の理解がないとダメであることは明らかです。社会進出を叫んでいるだけでは何の効果もありません。

問題は、女性の出産、育児に理解のない会社、上司、同僚によるマタハラ発言です。今まで何も考えずに発言していた言葉が実はマタハラに該当することもありますので気をつけましょう。以下が具体例です。

■1:「妊娠したの?じゃあいつ会社辞めるの?」

会社は妊娠、出産を理由に従業員を解雇することはできません。自主退職という形を取っていても、実質的に解雇と同様であればそれも無効です。

ですので、妊娠したことを理由として退職を迫るような発言はマタハラにあたります。妊娠=退職という固定観念は拭い去らないといけません。

■2:「出産後は育児が大変だから、正社員でなくパートで働いたらどう?」

会社は妊娠、出産を理由に、労働条件を不利益に変更することは禁止されています。

正社員で働いているのにパートに変更するようなことはもちろん許されません。ですので、パートになるよう勧める発言はマタハラです。

■3:「うちの部署は忙しいんで、出産したらすぐに戻ってきて欲しいんだが…」

確かに早く戻ってきてほしいと言われると、会社の中で戦力として認められているような気がして悪い気はしません。それゆえ、このような発言は問題なさそうですが、実はマタハラです。

法律上、出産の日から8週間は女性を勤務させてはいけません。ですので、早期に職場復帰するように強要する発言はマタハラとなります。「子育てが一段落したら戻って来て欲しい」という程度であれば問題はないでしょう。

■4:「子供の送り迎えぐらいで早く帰られると困るんだよね…」

自分の仕事が忙しいと思わず言ってしまいそうな一言ではありますが、子供が小さいうちは保育園の送り迎えやあるいは子供の急病など、どうしても早く帰らなければならないことがあります。

法律でも勤務時間退縮制度や残業の免除等が義務付けられています。ですので、育児により早く帰ることを否定するような発言はマタハラになります。

マタハラの防止は個人の努力だけでなく、会社全体の努力が必要です。事業主の方はこれを機に、マタハラを社内から完全に排除し、安心して出産、育児に専念し、再び会社に戻ってこられる職場づくりに努めてみてください。

*参考: 働くみんなのマタハラ手帳

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*執筆/神楽坂中央法律事務所 山口政貴弁護士(最近はテレビなどで弁護士の存在がかなり一般的になっていますが、それでもやはり弁護士に事件の相談をすることはなかなか敷居が高いものです。私はお客様にそのような思いをさせないように、難解な法律用語を使うことはせず、また、ざっくばらんに話をすることを心がけています。経済的な問題で相談をためらっている方のために、初回相談は分野を問わず全て相談料無料としました。徹底的に「お客様目線」の事務所であると自負しております。)


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