働き方

社内恋愛したら懲戒処分に!法的にそれはアリなの?

投稿日:2021年10月28日 / by

恋愛は個人の自由のはず。会社がそこまで縛る権利はあるの?!?

あるアンケート調査によると、社内恋愛をした事がある人は3-4割程もいるようです。
読者のみなさんのなかにも、社内の人が好きになってつきあったことがあったりしないでしょうか。

つまり、世の中ではかなり多くの会社で社内恋愛が行われているという事になりますが、中には社内恋愛禁止としている会社も少なくないので、バレてしまった際には「懲戒処分が下される」という可能性もあります。

同じ会社の人と付き合っているというだけで降格や減給などの処分が下されるというのは、規則で決められているとはいえ納得がいかないかもしれません。迷惑もかけずに付き合っていたとしても、社内恋愛禁止の規則に伴う処分などは有効となるのでしょうか?

法的にはどうなっているのかを紹介していきます。(powered by シェアしたくなる法律相談所

社内恋愛がバレて懲戒処分に

そもそも「懲戒処分」はどういうことか

懲戒処分とは、企業秩序を乱す行為をした労働者に対し制裁として行われる不利益な措置のことをいいます。

要は職場を混乱させたことに対するペナルティです。

社内規定違反に対する降格なども懲戒処分に当たります。

懲戒処分が有効となるのはどんな時か

懲戒処分が有効となるためには、あらかじめ就業規則に、どういった懲戒処分があるのか、どういう場合に懲戒処分を受けるのか、定められていなければなりません。

就業規則に書いていない処分をすることはできませんし、就業規則に書いていないことを理由として処分することもできないわけです。

本件の場合、就業規則に懲戒処分の一つとして「降格」を書いていない場合、あるいは懲戒事由として「社内恋愛」か社内恋愛が含まれると考えられる事由が書いていない場合、懲戒処分は無効です。

就業規則に定めてあってもそれは絶対ではない

たとえ就業規則にそれらが書いてあっても、それだけでは有効になるとは限りません。

懲戒処分が有効となるためには、その懲戒処分が権利の濫用にあたるようなものでないことも必要となります。

懲戒が、労働者の行為や態様やその他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠いており、社会通念上相当であると認められないような場合、懲戒は無効となります。

要するに不当な理由による懲戒は認められないし、懲戒に値する理由があるとしてもその理由に照らして重すぎる懲戒は認められないわけです。

具体的な事情によっては結論が変わってくると思いますが、社内恋愛が企業秩序を乱し放置できない場合というのは限られてくると思われます。

したがって、特に企業秩序を乱したというわけでもないのに、社内恋愛だけを理由に降格ということであれば法的に争う余地もあるのではないかと考えられます。

「懲戒」が無効とされた判例も、有効とされた判例もある

裁判になった例としては、水道配管会社の女性事務員が、同僚の男性社員と不倫していたことを理由に懲戒事由の「素行不良で職場の風紀・秩序を乱した」場合に該当するとして会社から解雇された事案があります。

この事案で、解雇された女性事務員は、雇用契約上の権利を有する地位にあることと賃金相当額の支払いについて仮処分を求め認められています。

裁判所は、社内恋愛・不倫の事実を認めつつも、職場の風紀・秩序を乱し、その企業運営に具体的な影響を与えたとまでは認めませんでした。

こうした裁判例もありますが、逆に、社内恋愛がこじれた末に一方が退職を余儀なくされ、それが社内に不安を招いたり、その後の求人採用に悪影響を及ぼしたということで、企業秩序を著しく乱したと判断され、相応の懲戒が有効とされた判例もあります。

そうならないようにするためにも、交際相手との関係だけでなく、上司や同僚とも関係を良くするよう気を遣うべきでないかと思います。

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*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)


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