働き方

請けた業務委託仕事の“時給”が300円…安すぎない?

投稿日:2021年12月9日 / by

副業時代はこういう業務委託仕事をするケースも増えているみたいだけど

会社など、他人に雇われて働く「雇用契約」というワークスタイルがある一方、どこにも属さずフリーランスの個人事業主として各企業と「業務委託契約」を結び、多くの会社と契約して働くワークスタイルも増えてきています。最近は副業としてこういった業務を請けて仕事をする人も少なくないですよね。

ここで問題になりがちなのが、こういう業務形態での報酬金額の設定。自分のスキルや経験が未熟なうちはフリーランスとしての報酬は非常に低いことが多く、場合によっては時給換算すると最低賃金を下回っていた…ということも充分に考えられるでしょう。

このような場合、業務委託のフリーランスであっても最低賃金を保障してもらうようクライアントに主張することはできないのでしょうか?法的にどうなっているのか調べてみました。(powered by シェアしたくなる法律相談所

Q.業務委託の報酬が最低賃金以下……違法じゃないの?

業務委託仕事の最低賃金は?

A.業務委託(請負)契約で働く場合は「労働者」に該当しないため、最低賃金法や労働基準法などは適用されません。

まず、「雇用」と「請負」の違いを押さえておく必要があります。雇用とは、他人(会社)の指示に従い、決められた時間決められた仕事に携わることで報酬を得る契約のことを言います。

一方、請負(業務委託)とは、ある仕事を完成させるために一方はその仕事を行い、一方はその対価として報酬を支払う契約を言います。雇用が「仕事に携わること」を目的とする一方、請負は「仕事を完成すること」を目的とします。

例えば、コンビニエンスストアのオーナーがアルバイトを雇ってレジ打ちなどの業務をさせるのは「雇用」に該当しますが、物品を配達するため配送業者を使うのは「請負」に該当します。

労働者の労働条件などを定める労働基準法、最低賃金法などの各種労働法は「雇用」によって働く労働者をその適用対象としていますから、業務委託として「請負」で働く場合には最低賃金法は適用されず、最低賃金以上の待遇を求めることはできないのですね。

(もっとも、雇用なのか請負なのかは「実態」で判断されるため、実態は雇用にも関わらず労働法の適用を逃れる目的で請負契約をしているような場合には、「偽装請負」として労働法が適用されることになります)

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*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。


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