働き方

残業代の正しい計算方法。知っておいて損はしない

投稿日:2022年8月25日 / by

人を疲弊させる長時間労働を見直す動きが定着していますが…

労働者のワークライフバランスの適正化のために、長時間労働を見直すことが多くの企業で重要な課題となっています。24時間営業の飲食チェーン店が、営業時間を短縮化するような動きもありますね。

労働時間が減れば残業時間も減ることになり、これは従業員にとってはワークライフバランスをより良い方向に改善できるというメリットがあります。

一方で、これまで支払われていた残業代が減るというデメリットもあるため、中には一定程度の残業を続けたいとお思いの方もいらっしゃるでしょう。

さて、残業すれば貰えるのが「残業代」ですが、皆さんはこの残業代の計算方法をご存知でしょうか?

何となく割増しがされる……という認識ではなく、自分が正しい残業代をもらっているか検証するためにも残業代の計算方法をこの記事で押さえておきましょう。(powered by シェアしたくなる法律相談所

Q.残業代とは、どのように計算されるものなのか?

残業代の正しい計算方法

A.基本給のほか、各種手当も含めて計算する必要があります。

残業代(割増賃金)の計算方法は以下の通りです。

「残業代=時間単価×残業時間数×割増賃金率(*)」

*:割増賃金率は、労基法で、残業の種類によって次のように定められている。
(1)「1日8時間」「週40時間」の法定基準を超える法定外残業では「125%」。
(2)法定外残業が深夜時間帯(午後22時から翌5時)になる場合はさらに25%加算されて「計150%」。
(3)法定外残業が「月60時間」を超える場合には「150%」。
(4)「月60時間」を超えた分が深夜時間帯(午後22時から翌5時)になる場合はさらに25%加算されて「計175%」。
(5)休日労働の場合は「135%」。
(6)休日労働で深夜時間帯(午後22時から翌5時)になる場合はさらに25%加算されて「計160%」。

ここでいう「時間単価」とは、月給制の方であれば支払われている給与を「月の所定労働時間数」で割って算出します。例えば月給30万円で月の所定労働時間数が173時間であれば時間単価は1,734円になります。

なお、残業代の計算では基本給だけでなく各種手当(※家族手当、通勤手当、住宅手当など労働と関連性の低い一部の手当は除外)も含めたうえで「時間単価」として計算することになります。

そのため、基本給だけで残業代が計算されていて、役職手当などの手当が時間単価の計算上除外されている場合には、その残業代の計算は間違いということになります。

このように計算ミスなどで未払いになっている残業代があれば、最大2年間分は遡って請求することが可能です。

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*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。


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