働き方

業績不振で従業員を解雇する…って本来合法なこと?

投稿日:2022年10月27日 / by

庶民の秋の楽しみ「サンマ」は、いつのまにか高級魚になってしまったが…

季節は秋。「天高く馬肥ゆる秋」という言葉があるように、非常に食べ物の美味しい時期です。なかでも代表的なのは、やはりサンマではないでしょうか?

焼き魚はもちろん、刺し身や煮魚など、ありとあらゆる調理方法が存在するだけに、愛している人は多いはず。ところがご存じの通り、ここ数年、サンマは不漁続き。その価格もかなり高騰していることがニュースになっています。

庶民の食卓からサンマが遠ざかるだけでなく、そうした不漁の煽りを受けて、水産会社などでは採算が取れず、工場の閉鎖も懸念されるところもあるとか。そうなると、従業員が解雇されることにもなりかねません。

業績不振で従業員を解雇するのは合法か

昨今では、これはサンマ漁に関する問題のみではありません。一般的な話として、会社の存続が危うい時は、経営者は従業員を減らし、人件費を削減して、会社の存続を図ることがあり得ます。経営者からすれば当然の判断なのかもしれません。しかし、「会社の業績が悪いから解雇」というのは、雇用されている労働者の側からすると、あまりにも理不尽。このような措置に違法性はないのでしょうか?
ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお伺いしました。(powered by シェアしたくなる法律相談所

業績不振による解雇に違法性はないか?

(森川弁護士)「会社の業績不振は、労働者側に落ち度、非がある事象とは考えられません。したがって、それを理由とする解雇はいわゆる整理解雇にあたります。判例上、

①人員削減の必要性
②解雇回避努力義務
③人選の合理性
④手続きの相当性

…という4つの要素が必要です。

業績の不振(例えばサンマの不漁)ということの場合、本当に解雇して人員を削減する必要性があるほどなのか(①)、解雇の他の手段(希望退職等)を努力したか(②)、人選は公正・公平なのか(③)、そして労組や労働者と協議・説明を尽くしたのか(④)等の要件を満たさなければ、解雇は認められません。

勤務先(工場等)自体が“休止”ということになり、かつ、争う労働者がいないということの場合、要件を満たしているか、少なくとも納得する程度の協議・説明はあるべきではないかと考えられます」

どうやら業績不振による解雇の場合、いくつかの要件を満たしていない場合は認められないようです。仮に自分が「解雇」されてしまった場合、その適正性を争う余地はあるかもしれません。その場合は、弁護士への相談をおすすめします。

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*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中


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