
「朝早く来る」「上司より先に帰らない」は新入社員の常識?
新人たる者、やっぱりそういう風にしなければならないのだろうか
新社会人として会社に通いだして、学生時代とは違う新しい生活リズムに慣れてきた人は少なくないと思います。
ただ、そういった新入社員が、社会に入って受ける洗礼としてまだ一部にあるようなのが「朝は先輩よりも早めに出社しろ」だったり、「上司より先に帰ってはいけない」などと言った少しパワハラも含まれているような悪き風習です。
法的にはこれらにどう対応すべきものなの、ご説明をいたします。(powered by シェアしたくなる法律相談所)
Q.先輩より早く出社して先輩より遅く退社するのは常識?
A.非常識です。むしろ新入社員こそ定時に帰り、社外でスキルアップなど見識を深める時間を作るべきでしょう
法的には当然労働時間は雇用契約書によって決められています。そのため、本来の始業時刻よりも早めに出社することを命ずるのであればそれは早朝の「残業」に該当するため、残業代を請求することができます。
また、「上司よりも先に帰ってはいけない」というのは法的な根拠は全くありません。
残業代を発生させてまで新人に命じなければならない必要性のある仕事があるのか大いに疑問ですし、定時になれば労働契約上の義務は果たしたことになるため、退社しても全く構いません(残るように指示があるのであれば、それは全て「残業」として時間外手当を請求する余地があります)。
なお、最後に個人的な意見を付しておきますが、むしろ新入社員の時期こそ会社は定時で退社し、残った時間で資格や業務知識の習得、他社・他業界の方との交流を積極的に行うことでキャリアアップに励んだ方が会社・本人にとってもメリットが大きいのではないかと考えます。
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*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。)