働き方

上司から誘われた「飲み会」の残業代は請求できないか

投稿日:2023年4月27日 / by

本当は行きたくないのに、夜遅くまで…やっぱり残業代ほしいよね

4月は歓迎会や部署異動にともなう懇親会などが多い時期ですよね。

飲み会が好きな人にとっては嬉しいシーズンですが、お酒が飲めない人や、そもそも飲み会が嫌いな人にとっては非常に苦痛なシーズンともいえるかもしれません。

飲み会に対する想いが様々であると思いますが、嫌いな人にとっては仕事後に無理やり同僚や上司と飲んだり、歓迎会に参加したりする人もいるでしょう。

そこで気になるのは、飲み会を業務の一環であるとして残業代を請求することはできるのか?という疑問。今回は会社の飲み会に残業代を出るのかどうかを検討してみたいと思います。(powered by シェアしたくなる法律相談所

上司から誘われた「飲み会」の残業代

そもそも「労働時間」とは何をしている時なのか

まず、法律上、労働時間は、休憩時間を除いて週に40時間を超えてはならないとされています。

もっとも、例外として労働時間を延長することが認められる場合もあります。労働者は、認められた時間外に労働をした場合、割増賃金を支払ってもらうことができます。

この割増賃金がいわゆる残業代に該当します。それでは飲み会は時間外労働といえるのか、というのが次に問題となります。法律での労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」(最高裁判決 平成12・3・9)です。

そうすると、飲み会が労働時間に含まれるのかどうかは、飲み会について、指揮命令下に置かれている時間といえるかどうかを判断することになるでしょう。

取引先との接待と、ただの飲み会では違う?

例えば、会社の取引先との接待で、取引において必ず飲み会を開催する必要があり、その飲み会に担当者として絶対参加しなければならない、といえる場合には、飲み会も労働時間に含まれることになると思います。

それでは、単なる歓迎会などの飲み会ではどうでしょうか。

会社内部の単なる飲み会の場合、任意参加が原則でしょうし、黙示的に参加しろ、というような圧力はあるかもしれませんが、多くの場合、最終的な意思決定は本人にあります。

もちろん、参加せざるを得ないような空気があるのだから、上司の指揮命令下にある、といいたくなることはわかります。しかしながら、歓送迎会や通常の飲み会は、業務を終えて、そのあとの時間を利用して開催されるものなので、やはり労働時間に含めるのは難しいのではないでしょうか。

参加しなければクビ、もしくはクビとは言わないまでも参加することが必須とされている強制参加の場合や、飲み会の場を利用して打ち合わせをするような場合であれば、時間外労働として残業代を請求できると認められるケースもあります。ただ、一般的な、いわゆる“通常の飲み会”では、そこまではいかないことの方が多いのではないでしょうか。

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*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)


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