
泣き寝入りしてた「サービス残業代」…退職後でも請求できる?
まだまだ無くなっていない「サービス残業」。なんとか取り返したいが…
労働基準法では、1日8時間、週に40時間が法定労働時間として定められています。そして、これを超える労働には割増賃金が支払われなければなりません。ところが、実際には残業代が支払われない、いわゆる「サービス残業」がまだまだ横行していると言われています。
雇用者には未払いになっている残業代を請求する権利があるのですが、残業代を請求することは、退職後でも可能なのでしょうか?(powered by シェアしたくなる法律相談所)
Q.未払いの残業代は退職後でも請求できる?
A.できます。但し、“時効”があります
雇用者に残業代を請求する権利があり企業には支払いの義務があることは、退職後でも変わりません。ただし、労働基準法第115条では「賃金や災害補償その他請求権は2年間」(法改正で,2020年4月1日から「5年」に延長。但し、当面は「3年」の暫定措置)と定められています。残業代請求には時効があるのです。退職してからあまりのんびりしていると、支払ってもらえる金額が減ってしまいます。
請求は個人でもできます。勤務期間や勤務時間の記録を用意し、内容証明を送るなどして実労働時間に応じ算出された残業代の金額を提示し交渉します。
当事者同士の話し合いで解決できなければ、労働基準監督署に申告し、残業代を支払うよう指導・勧告してもらうこともできます。また、裁判所に訴えるという方法もあります。
いずれの方法を取るにしても、大切なのは労働の証拠です。特に退職後だと残業時間を証明するものが手に入らなくなることがあります。退職前にタイムカード、勤怠記録、日報などの写しを確保しましょう。
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*記事監修弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。)
*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。)