働き方

意外と知らない育休と復職…弁護士が詳しく解説

投稿日:2023年10月26日 / by

「育休」といっても、いろいろ取得できる休みがあるって、知らなかった!

近頃は日本でも「育休」を取得する人が増えてきました。かつての時代には聞き慣れなかった言葉ですが、現在は日本人にも定着。大企業などでは、会社側が積極的に取得を促すケースもあるそうです。

そんな育休ですが、中小企業などでは、取得するケースがそこまで多くないようで、そのような制度があることは知っていたとしても、詳細を把握している人は少ないと聞きます。

そこで今回はセンチュリー法律事務所 小澤亜季子弁護士に育休と復職について、詳しく解説していただきました。
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育休のことを詳しく説明

子どもが1歳になるまで

※育児休業

対象:1歳未満の子を養育する男女労働者
内容:その子が1歳になるまで、育児休業を取ることができます。有期雇用労働者であっても、一定の場合には、育児休業を取ることができます。

※育児休業期間の延長

子が1歳になった日に、保育所の入所を希望し申し込みをしているが、入所できない場合には、子が1歳6ヶ月になるまで、育児休業を延長することができます。

※パパママ育休プラス

父親と母親、両方ともが育児休業をした場合は、育休の期間を「子どもが1歳になるまで」という期間から「1歳2ヶ月まで」育児休業期間を延長できます。

※産後パパ育休

男性が育児に関して休暇をもっととれるようにするために、2022年10月1日から改正された育児介護休業法が施行されました。
従来の育休の他に、子どもの出生から8週間以内に4週間まで取得できる「産後パパ育休」が新設されています。この休暇は2回に分割して取ることができます。
これは通常の育休と併用できます。

育児時間

対象:1歳未満の子を育てる女性労働者
内容:1日2回各々30分間の育児時間を請求できます。この育児時間は、勤務時間の初めまたは終わりに請求することもできますし、60分まとめて取ることもできます。

時間外労働、休日労働、深夜業の制限など

対象:産後1年を経過しない女性労働者
内容:女性労働者が請求した場合、時間外労働、休日労働、深夜業は禁止です。

子どもが3歳未満

短時間勤務制度

対象:3歳未満の子を育てる男女労働者
内容:短時間勤務制度(1日5時間45分~6時間)を利用できます。

子どもが小学校入学前

子の看護休暇

対象:小学校入学前の子を育てる男女労働者
内容:年次有給休暇とは別に、1年につき5日間、子どもが2人以上なら10日間、病気やけがをした子どもの看護、予防接種及び健康診断のために休暇を取得することができます。

時間外労働、深夜業の制限

対象:小学校入学前の子を育てる男女労働者
内容:1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはいけません。また、深夜(午後10時から午前5時まで)において労働させてはいけません。

マタニティハラスメント及び育児を理由とした不利益取り扱いの禁止

*産前産後の休業期間及びその後の30日間は、その女性労働者を解雇することができません(労基法19条1項)。

*以下を理由とする解雇その他の不利益な取り扱いはしてはいけません(均等法9条3項)。
(女性労働者の妊娠、出産において)
・産前産後休業等の権利を行使したこと
・育児時間の請求や妊産婦の時間外・休日労働の制限の請求をしたこと
・妊娠や出産に起因する症状により労務の提供ができなかったり、労働能率が低下したこと等

*妊娠中及び出産後1年を経過しない女性労働者の解雇は、会社側が他の正当な理由を証明しない限りできません(均等法9条4項)。

「育休が取りにくい」という人もいるようですが、もろもろは労働者に認められた正当な権利。正しい知識を得て、会社と交渉しましょう。

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*記事監修弁護士:センチュリー法律事務所 小澤亜季子(依頼者の皆様の不安を少しでも取り除けるように、お気持ちに寄り添い傾聴すること、なるべく早く具体的な解決策を提案すること、そのための費用がいくらかかるのかを明確にすることを心がけております。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)


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