働き方

未払いサービス残業代の請求で知っておくべき3つのポイント

投稿日:2024年3月21日 / by

残業代について、コンプライアンスで“きちんとする”会社も増えてはいますが…

「サービス残業」いわゆる“サビ残”という言葉が定着して久しいですが、長時間の残業を行ったにも関わらず割増賃金が支払われない、といった問題はまだまだ発生しています。現在、政府でも「働き方改革」として、このような残業時間を規制する政策が検討されていて、後述のように、未払い残業代の請求に関して労働基準法を改正したりしました。

割増賃金に関する労務トラブルとその解決策について、桜丘法律事務所の大窪和久弁護士にお話を伺いました。ぜひとも知っておきたい3つのポイントについて解説していきます。(powered by シェアしたくなる法律相談所

未払いサービス残業代の請求で知っておくべき3つのポイント

①サービス残業分を後々請求するためには?

実際にサービス残業などで割増賃金の一部または全部が未払いのままになっている場合、労働者が後々これをしっかり請求するために、日々の業務中において心がけておくべきことはあるのでしょうか?

(大窪弁護士)「残業代請求において労働時間を立証する責任は原則として“労働者側 “が負うことになります。普通の会社であればタイムカードや出退勤管理システムなどで労働時間が記録されていると思いますが、サービス残業をさせている会社ではタイムカードに労働時間が正確に記録されてなかったり、管理システムでの打刻時刻をずらすような指示を出していたりすることも、あります。また酷い場合には、労働者が残業代を請求した時点でタイムカードを破棄してしまうような会社さえあります。

実務上は、タイムカードや管理システム以外の立証手段として、PCの立ち上げ時刻の記録や、電子メールの送受信時刻などを証拠とすることもありますので、これらのデータは保管しておくとよいでしょう。

また日々労働時間を記録したメモなどが証拠として使えることもあります。X(ツイッター)での書き込みが労働時間の立証につながるということもありますので、どういった形式であれ労働時間の記録をしておくことは有益です。」

自分で労働時間をしっかり把握さえしておけば、一見すると意外に見える方法でも立証できるということがあるのですね。

②時効で消えてしまった未払い賃金はどうなる?

かつて、未払い賃金の債権は2年で時効消滅してしまう決まりでした。しかし、前述の通り、労働基準法が改正され、「2022年4月1日から、『2年の時効』を『当面3年に延長する』」と改められました。つまり、2年以上の期間でもさかのぼって未払い請求ができるようになっています。

サービス残業が長期間に渡って行われていた場合、時効期限(現状3年)より前の賃金債権に関しては完全に泣き寝入りするしかないのでしょうか?何らかの方法で金銭的な補償を勝ち取る方法はないものでしょうか。

(大窪弁護士)「未払い賃金を請求する権利は法律上、時効があります。ただし、この点については未払い賃金(残業代)を、“損害賠償”として認めた裁判例もあります。

ただ、実際は賃金が未払いであったことだけを主張すればいいのではなく、雇用主の行為が“不法行為”に該当することを主張立証する必要があります。」

未払い賃金の請求には時効がありますが、雇用主の行為が“不法行為”であったということを立証することができれば、それ以前の未払い賃金を損害賠償という形で取り戻すことは可能となるのです。

③未払い賃金の請求後も会社に残るためには?

未払い賃金の請求は多くの場合、雇用関係が解消する退職時に行われるものと思いますが、在職中に未払い賃金を請求し、そのまま現職に出来るだけ円満に残ることができるような方法があるのでしょうか。

(大窪弁護士)「未払い賃金を請求することは法律上認められている権利ですし、それを理由として解雇するということも認められないので、本来であれば在職中に請求するということは何ら問題ないはずです。

ただ実際には会社に未払い賃金を請求した場合、その後会社から不利益を受けるのではないかと不安になるのも無理はありません。

そこで、もし労働組合に加入しているのであれば、労働組合を通して団体交渉を行うという手段もあります。個人で会社と戦うのに比べても心理的にも自分の権利を主張しやすいですし、不当な圧力を受けることも少なくなります。

また、弁護士に代理人になってもらい請求してもらうということも手段としてはありえます。訴訟まで行わなくても交渉により和解を行い、そのまま就業を続けるということを目指すということでもいいでしょう。」

弁護士による残業代請求サービスはここ最近増えてきています。自分一人で権利を主張するのが不安であれば、弁護士に依頼するという手法も有効になると言えるでしょうね。

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*取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間の間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。北海道紋別市で3年間、鹿児島県奄美市で3年間公設事務所の所長をつとめたあと、再度北海道に戻り名寄市にて弁護士法人の支店長として5年間在任。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。)

*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。


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