働き方

ならなきゃ厳しい…。“超ホワイト企業”になるために最低限クリアすべき3つのハードル

投稿日:2016年3月2日 / by

「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の受賞企業が決定

第6回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の受賞企業が2016年3月2日、都内で発表された。超難関の審査を通過し、選ばれた企業は、まさに「大切にしたい会社」と呼ぶにふさわしい、素晴らしい経営を実践。業績と社員幸福度を見事に実現している。閉塞感が漂う日本経済にあって、ぶれることなく発展を続ける“超ホワイト企業”。その在り方は、人口減少時代の新スタンダードともいえ、見習うべき点が多々ある。

選考理由を説明する坂本委員長(中央)

選考理由を説明する坂本委員長(中央)

「選ぶためでなく、こうなって欲しいという指標」。応募資格から審査基準に至るまで、厳しすぎるともいわれる由縁は、同大賞の審査委員長で法政大学大学院政策創造研究科の坂本光司教授のこの言葉に集約されているといっていいだろう。

<こうなって欲しい>という願望だから、クリアする方が難しいのは当然だ。年々高まる注目度に比例し、応募企業は増加しているが、それでもその数57社。しかも、多くは他薦。応募したくても眼前に高い敷居が立ちはだかり、なかなか一歩を踏み出せないのが実状といえるだろう。もちろん、すぐれた会社ほど謙虚であり、その結果、他薦が多いという事情もある。

なにせ、応募資格の時点で、過去5年以上<人員整理をしていない>、に始まり、<仕入れ先にコストダウンを強制していない>、<障害者雇用率は法定雇用率の2%以上>、<黒字経営>、<重大な労災を起こしていない>となっており、1つ2つはともかく、全てをクリアできている企業となると、ほとんどなさそうだ。実際、この時点で多くが振り落とされるという。

この厳格な書類選考の後には、次のプロセスとして現地調査も控えており、たとえ一次を通過したとしても、数字には見えない負の部分は審査員の肉眼で一発で見抜かれてしまう。そもそも、審査基準の多くは「過去5年以上」という継続性が重視されており、思い付きで始めたような、ユニークで社員が喜びそうな人事制度を採り入れいれている程度では、選考の俎上にさえ載れないのが実状だ。

→ 「日本でいちばん大切にしたい会社」は応募難度も最高ランク

受賞企業のうなる取り組み

今回、トップ4といえる、経済産業大臣賞、厚生労働大臣賞、中小企業長官帳、実行委員長賞を受賞したのはそれぞれ、サトーホールディングス株式会社、株式会社日本ロック、株式会社エイチ・エス・エー、社会福祉法人アンサンブル会だが、各企業とも、うなるほどの取り組みが浸透している。例えば、サトーホールディングスは全体では約5,000人規模で、製造業ながら、正社員比率が87.4%で、離職率は0.9%以下。残業も1か月5時間~10時間に収まっている。エイチ・エス・エーは、株式会社ながら、働きたい人はすべて採用し、障害者雇用率は2.6%で、離職率0.4%。経常利益率は安定して8%前後となっている。日本ロックに至っては、離職率ゼロだ。

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まさに坂本委員長の「願望」を実現してしまっている“超ホワイト企業”と呼ぶにふさわしい4社といえるだろう。「日本にこうした会社が増えれば、多くの人が幸せになり、活性化する」と坂本委員長は確信している。ブラック企業は問題外としても、せめて、並みの企業が、超ホワイト企業になるためにはどうすればいいのか。最低限の心得としてあげるなら次の3つのクリアすることだろう。

“超ホワイト企業”に近づくためにクリアすべき3つのハードル

(1)過去5年以上黒字である。(2)残業は月10時間以内。(3)取引先を不幸にしない。理由は、簡単だ。社員が無理なく効率よく働き、その上で結果を出し、取引先とも良好な関係を構築すれば、自ずと同賞の審査基準に近づくからだ。逆にいえば、この3つを徹底するだけでも、会社は、グレーからホワイト、そして超ホワイトへと輝きを増していくハズだ。

6回目となる同賞を振り返りつつ坂本委員長は、肌で感じる企業の変化を次のように明かす。「専門は中小企業ですが、昨今は大企業からも講演の依頼がある。それだけ、企業の価値感も変わってきているんだと思う。メールや手紙もたくさん来るが『今までの経営は間違っていた』というものも少なくない」。右肩上がりの時代の経済合理性を重視した経営スタイルは、もはや、過去の遺物となりつつある。「大切にしたくなる会社」が、優秀な人材を呼び込み、業績を向上し、日本を活性化するーー。高齢化が進み、社会構造が変化する中で、日本企業の価値感も大きく変わりつつあるようだ。

なお、4賞の他、審査委員会特別賞10社、実行委員委員長特別賞4社が選出されている。授賞式は3月23日に都内で開催される。

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