
会社では教えてくれない新社会人が知っておくべき働くルール
新年度が始まり、新入社員は、研修や日々の業務で勉強漬けの毎日だろう。乾いたスポンジのようにいろいろなものを吸収し、社会人としての最初のステップをもがきながら上っているに違いない。学ぶことばかりの大事な時期だが、会社ではあまり教えられない大事なこともある。「働くルール」についてだ。
「働くルール」とは、社会人のマナーではない。働く人を守るための法律、つまり「労働法」だ。働く人が、生きがいややりがいをもって働くことができるよう、つくられた法律だ。知らなければいい仕事ができない、というワケではない。だが、社会人として当然、疑問に思うべきことなどについて、センサーが働きづらくなるので、社会人の基礎知識として知っておいた方がいい。
では、あなたはどれくらい知識があるのか。まずは以下の質問に答えて欲しい。「正当」か「不当」か…。
(1)「ライブに行きたいから有休を取得します」と申請したら「ダメです」と言われた
(2)「景気が悪いので」という理由で急に給料を下げられた
(3)ミスが原因で「明日から来なくていい」と言われた
答えはいずれも「不当」。(1)有給休暇は、利用目的を問われることなく取得が可能。(2)会社は、労働者と交わした労働契約を労働者の同意なく不利益に変更することは原則できない。(3)解雇については、社会の常識にかなう納得できる理由が必要となる。
多くの人が正解したかもしれない。しかし、大事なことは、「常識的にそうでしょ」という感覚的な判断でなく、労働法という法律に基づいている点を理解しているか否かだ。つまり、そうした法を平気で破る様な会社なら、発展する見込みもなく、雇われる側としての企業選びの的確な判断材料にもなるからだ。「なんかおかしい」ではない、明確な根拠。それを押さえておくことは、会社との強い絆を構築し、気持ちよく働く上でも非常に重要だ。
勘違いしてはいけないのは、こうした知識を盾に、何でも「不当だ」と企業にかみつけばいいというワケではないということだ。状況によっては、「仕方がない」と思える事態もあるだろう。そうしたことも含め、労働者が、企業と真の信頼関係を築く上でも、こうした知識は常識として知っておく必要がある。本来、研修で教えてもいい内容といえるが、そこは大人の事情を汲んで、労働者の義務として自身でしっかりと学んでおこう。
厚労省から、マンガで簡単に分かる小冊子が発刊されているので、ダウンロードして、読んでおくといいだろう。