働き方

会社員のチャレンジの理想のカタチ【瓦の目】

投稿日:2015年2月27日 / by

あえて困難に立ち向かう欽ちゃんはすごい

challenge先週の「瓦の目」でシニアの老後を幸福にするのは、常に目標を持ち続けること、と書いた。折しも、欽ちゃんこと萩本欽一さんが、駒澤大学の社会人入試制度で仏教学部に合格したとのニュースがあった。欽ちゃん曰く「ひとつ辞めたら、何か足さなきゃと思った」のが受験のその理由。昨年、大劇場での公演を引退するなど、その活動は縮小方向だが、さすがは欽ちゃん、ただでは転ばない。一番大変なことに立ち向かおうと考え「認知症に立ち向かおうと思った。だったら記憶すればいい」と73歳でのチャレンジに胸を張った。

生物はなぜ進化するのか。それは環境に適応するためにチャレンジするからだ。「もういいや」と思ったら、停滞でなく後退する。その意味では、大塚家具のお家騒動は、あまりに情けない。時代の変化や環境への適応を拒む父。環境への適応を推し進めようとする娘。これだけを持って娘側が正しいというつもりはない。それよりも、健全な企業なら、環境の変化には当然敏感だし、そこへの対応にも柔軟性がある。それが大塚家の“DNA”によって、機能不全となっていることが愚かなのだ。

もっとも、小さな家具屋からスタートした同社は、いまや上場企業。実質のオーナは株主だ。骨肉の争いは、ワイドショーの格好のネタになったが、所詮はコップの中の嵐でしかない。その命運を握るのは、もはや2人ではない。そう考えると、社員は、この動向をかつてのしがらみや感情を抜きにして見守る必要がある。「どっちに付いたら得か」。そんな発想では、結局はババを引くことになる。家族のことを考えると足はすくむかもしれないが、残留だけが選択肢ではないハズだ。

会社員が守りに入りがちなのは宿命なのか…

考えてみれば会社員というのは、不思議なポジションだ。会社という法人に雇われているが、契約は定年までであり、期間の定めがない。契約社員のように明確に期限がないから、報酬がなにに対して支払われているのかよく分からなくなる。無遅刻無欠勤で上司のいうことをよく聞いて、雑務をしっかりとこなし、時には自分からも提案もして、会社の売り上げに貢献する…。そんな、なんとなくの役割を遂行した見返りが報酬というカタチになっているケースがほとんどだろう。これでは、いざという時に、なにで貢献しているのかを主張できない。こんなことだから会社員は、なにかあるとまずは「誰についていくべきか」と反応してしてしまうのだろう。

「私はこんなことができて、こういう形で会社の役に立てます」。できる社員は昔からそうだが、今後はよりそうしたことを明確に主張し、実行できなければ、どんどん人材としての価値は下落していく。ゴマすりや忠誠心はマイナスこそあれ、何のプラスももたらさない。大塚家具の会長の会見で居並んだ幹部社員の方々。最大級の忠誠心としての行動のつもりだろうが、裏を返せばあんな形でしか“御大”に自分をアピールできないんだろうなぁ、老婆心ながら思ってしまった。ある意味チャレンジャーだが、欽ちゃんのチャレンジ精神とは全く違う質のものであることは間違いない。

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