働き方

“プロ化”が加速する「クラウドワーカー」という第三のワークスタイル

投稿日:2016年2月2日 / by

プロクラウドワーカー制度の狙いとは

クラウドワークスはさきごろ、一定基準を満たすクラウドワーカーを、仕事能力の高いプロフェッショナルとして認定する「プロクラウドワーカー」制度を開始した。クラウドワーカーの“プロ化”は、クラウドソーシングが新しい働き方の主流となるプロセスで重要なカギを握ることになるだけに、その成り行きが注目される。

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プロ化の狙いを説明する石川氏

同社のプロ認定基準は次の通り。「プロジェクト形式案件の納品完了率9割以上」、「クライアント評価4.8以上」、「仕事カテゴリ別獲得報酬額上位20%以内」、「スカウト数10回以上」、「本人確認済み」の5項目だ。あくまで過去の実績に照らし、選定された同社認定プロクラウドワーカーは、現在までに約4000人。全体の0.5%程度の割合だ。

“プロ認定”は、その基準から分かるように「信頼できるクラウドワーカー」を意味する。発注企業にとって、顔の見えないクラウドソーシングは、利用に際し、手軽さの一方で不安がぬぐえない側面がある。「プロクラウドワーカー」制度は、宿命ともいえるこのボトルネック解消に、登録者を熟知する同社が、独自基準でおススメできる優良人材を“可視化”したシステムというワケだ。

実力が可視化されることで、プロクラウドワーカーには自ずと仕事が集まりやすくなる。同社からも優先的に、有名企業からの依頼案件や高単価の案件、継続発注が予定される案件などが紹介される。その結果、プロクラウドワーカーは、いままで以上に仕事を受けやすくなり、収入も安定する。

「我々はこれまで、いかに案件と人材のマッチングを全体として最適化するかに注力してきました。しかし、登録者が増大していく中で、発注者がより最適な人材と速やかにマッチングするために、優良な人材をみつけやすくする必要が出てきました。そこで行き着いたのが、仕事能力の高いクラウドワーカーを認定するこの制度の導入というわけです」とプラットフォーム事業部の石川賢志氏は、このタイミングでの“プロ認定制度”導入の理由を説明する。

“プロ化”に秘められたクラウドソーシングの未来

同制度導入には、もう一つ大きな目的が隠されている。クラウドソーシングが抱える最大の課題といえる、大企業の開拓・深耕だ。出来るだけ短期に年間総契約額100億円達成(※2015年9月期:約28億円)を目指す同社にとって、大企業の開拓は必須。だが、大企業がアウトソーシング先としてクラウドソーシングを当たり前のように活用するには、さらなる信頼性が求められる。そこをクリアするには、使い勝手だけでなく、登録ワーカーの質そのものの向上が重要となる。同制度の導入は、クラウドソーシングの未来を担う、抜本的なテコ入れの意味合いもあるのだ。

プロクラウドワーカーの認定基準

プロクラウドワーカーの認定基準

もっとも、同制度は、これまで以上に有能な人材への仕事集中を誘発することにもなる。その意味で、下層クラウドワーカーのモチベーションに影響を及ぼさないのかは気になるところだ。石川氏はその点について、次のように補足する。「もちろん、そうした側面もゼロではないでしょう。しかし、それ以上にクラウドワーカーとして目指す指標ができることで、むしろ全体のモチベーションは上がると考えています」。

自由闊達な“職場”といえるクラウドソーシングに、いい意味の競争原理が導入されることで、全体の底上げが加速。結果的に利用企業が増大する。その先には、もうワンランク上のステージもみえてくる。「現状は、まだまだ、大企業とのマッチングは我々が仲介して行われている状況ですが、いずれは大企業と個人が直接やり取りするプラットフォームにまで発展していければと考えています。その暁には、クラウドワーカーが言い値で受注するだけでなく、価格交渉もできるくらいに力をもってくれるようになれば理想的ですね」。

現状ではまだ、それだけで食べていけるホンモノの“プロ”は少数派だ。それでもサービスを提供する各事業者は例外なく、クラウドソーシングが新しい社会へシフトするインフラとして、大きな可能性を秘めることを確信している。同社では20年後に1,000万人が働く場所になると見通すほどだ。そのためには、クラウドワーカー自身がプロ意識を持ち、全員が“プロレベル”を目指す土壌が確立される必要がある。そうなれば、クラウドソーシングは、正規、非正規に続く“第三のワークスタイル”として、晴れて市民権を得ることになる。今回の“プロ化”導入は、その命運を握る大きな一歩、といえそうだ。

◇参考
ランサーズの補償付き認定ランサー制度はコチラ
ちょっと異質なエージェント型クラウドソーシングはコチラ
→吉田代表が語るクラウドソーシングの可能性はコチラ


【会社概要】
日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」社名:株式会社クラウドワークス
設立:2011年11月11日
代表者:代表取締役CEO 吉田浩一郎
資本金:16億9,068万円
所在地:東京都渋谷区恵比寿4-20-3恵比寿ガーデンプレイスタワー6階
事業内容:クラウドソーシング事業

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