
ほどほどの給与でマイペースで働きたい【悩むなら聞け!】
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<質問>
「ほどほどに働くことは人事評価にマイナスですか」
勤続15年。ひと通りの仕事をこなし、ある程度先も見えてきました。個人的には、いわゆる出世街道に乗るつもりはなく、ほどほどの給与でマイペースでやっていきたいと思っています。こうした希望を人事部に伝え、受け入れてもらうことは可能なものなのでしょうか。それともこうした行為自体が人事のマイナス評価になってしまうものなのでしょうか。教えてください。(38歳会社員)
【回答】
「いきなり人事部は少しリスキィかも…」
日本の人事では、まだまだ出世とは昇進(対外的な役職やポストが上がること)や昇格(社内的な格付けの等級が上がること)であると考えます。そして、その考えに則って設計された人事制度を、運用している企業が多いかと思います。
例えば質問者が望むようなキャリアを認めている会社は(近年増えてはきましたが)、まだまだ少ないというのが現状です。具体的には、本人の希望により、同じ資格等級に留まりながら仕事の幅を広げることもキャリアとして認め、人事制度でも担保している会社です。また社内で標準的に設定されている出世とは別に、ゆったりとしたキャリアを志向する、いわゆるスローキャリアを選択することができる会社もあります。
そして、質問者の希望を人事部に伝え、受け入れられるかということも、その会社の風土や人事方針によるでしょう。人事部が質問者の希望をポジティブに受け止め、善処してくれる場合もあります。また反対に、ネガティブに受け止め、単にやる気のない社員と見なされてしまう場合や、中にはついてこられないのであれば辞めろ、と切り捨てられてしまう場合もあるでしょう。
ですから、質問者の希望を人事部に伝える前に、他に同様の希望をもち、人事部に働きかけた社員はいたか、いたとすればその社員のキャリアや処遇はどう変わったのかを観察してみてください。もしくは本人に直接話しを聞いてみると良いでしょう。そのような前例がない場合は、個人的な相談をして差支えのない上司や先輩、人事担当者に話してみるという進め方もあるかと思います。
いずれにせよ、いきなり人事部に出向いて自らの希望を伝えることは、お勧めいたしません。それほどデリケートな問題です。
参考記事
もしも仕事で壁にぶつかっていると感じたら今一度自分を見直してみてください。
⇒仕事で壁にぶつかった時には自分自身を知ることで解決策を探ろう
<回答者プロフィール> 新井健一
1997年4月、大手重機械メーカ入社。人事業務全般に従事。1999年10月、アーサーアンダーセン/朝日監査法人(現 KPMG /あずさ監査法人)入社。 組織・人事及び業務改善に関わるコンサルティング及び教育に従事KPMGあずさビジネススクールにてシニアマネージャー、スクール長に就任。ビジネススクール責任者として事業経営の傍ら、コンサルタント、講師業務に従事。2010年11月、経営コンサルタントとして独立。東北六県を対象としたプロジェクトに従事し、仙台を拠点に活躍中。現在に至る。