働き方

老化が“治療”できるとシニアの働き方はどうなる…

投稿日:2015年1月26日 / by

老化が治療できるという可能性

ビル・アンドリュース博士

初来日したアンドリュース博士は抗加齢薬の近い将来の誕生を明言した

老化を逆行させる薬が早ければ2016年中には完成するかもしれない。2015年1月23日、初来日したビル・アンドリュース博士が明かした。同博士は、老化に関わるヒト細胞内のテロメア制御酵素“テロメラーゼ”研究の第一人者。超高齢化へ向かう日本にとっても大きな影響が及びそうな、革新的な研究が大詰めを迎えている。

初めて日本の土を踏んだアンドリュース博士は「ずっと日本に来たかった。なぜなら日本は4割が65歳以上になる高齢国家。そうなると介護や引きもりなどが激増し面倒見ることも大変になる。何らかの対処が必要だ。加齢を予防し、逆行させ、健康的に長く生きられるようにするのが私の使命と思っている」と力強く語った。

自信と使命感に満ち溢れた言葉には、にわかには信じがたい内容が含まれているが、現実に抗加齢領域の研究はかなり進んでいる。そのカギを握るのが「テロメア」だ。染色体の先端部分にあるこのテロメアは、寿命に大きく関わることが分かっている。細胞分裂ごとにに短くなるテロメアは、限界に達するとやがて細胞退化と細胞死に至る。その結果、老化や加齢に関する疾病が発生すると考えられている。

老化予防につながる薬物はすでに同定

アンドリュー博士が着目したのは、このテロメアの短縮。もしも、細胞が分裂してもテロメアが短くならなければ、細胞は老いることも消滅することはない――そうした仮設のもと、テロメア短縮に介入することで、人間の寿命を延長する方法を研究。すでにその発現を一過性に誘導する薬物を30種以上同定している。TAM-818と呼ばれる物資もその一つ。世界初のテロメアのショートニングを制御する物質であり、2015年には含有化粧品が発売されることが決定している。

defytimeから発売される同製品は、イタリアのアビチ研究所でその効能と安定性がテストされ、ヨーロッパ化粧品公認テストの関門を通過。30日間の塗布で、目じりのしわが激減する驚くべき結果を示している。

博士は、こうした企業へのライセンス供与により得られる収益の全てを研究資金に回すことを明かした上で「2016年中には、加齢を予防する薬ができるだろう」と明言。あくまで、薬が完成するだけで、市場に投入するまでには様々な関門をクリアする必要があり、普及レベルまでにはかなりの年月を要しそうだが、夢と思われていた薬の現実化がもうそこまで来ていることは確かなようだ。

加齢による衰えは、人間の宿命であり、自然の摂理と思われていた。だが、博士の視点は違う。老化は病の一種であり、予防や治療が可能という考えだ。そうした信念が、革新的な発見につながっている。別の研究グループが行ったマウス試験では、この仕組みを応用し、老化が“治癒”するという画期的な結果も得られている。

日本では、博士が懸念するようにヒトの寿命が延び、高齢化が進むことで、多くの弊害が出始めている。特に深刻なのが、痴呆や寝たきり増加による要介護人口の増大だ。全員がいわゆる健康長寿なら、高齢社会の未来は決して暗くはないが、平均寿命のうち、最後の6年近くは寝たきり状態が含まれるというデータもある。こうした状況に下の世代も引きずられ、職場を離れざる得ない管理職も増え始めている。未曽有の超高齢化は、労働市場を危機的状況に追い込むリスクを多分に秘めている。

シニアの概念が変わり、新たな市場誕生も

博士がその研究の先に見据えるのは、あくまでも健康寿命の増加による明るい未来であり、それが研究を継続する原動力にもなっている。実現すれば、誰もが自立して人生を全うすることが可能になる。老化による衰えが“治療”できるなら、シニア層は一転して大きな戦力に生まれ変わる。働く期間が一層伸び、生涯現役が当たり前になるかもしれない。そうなれば自ずと、人口減で懸念される労働力減少も回避できる。元気なシニアによる新たな市場が誕生し、景気浮揚にも貢献するかもしれない。

まさに究極のアンチエイジング。死ぬ最後の瞬間まで働き、社会に役に立てられれば、最高の人生といえる。もちろん、早めのリタイア後の第二の人生を元気いっぱいの体で満喫できれば、それもすばらしいだろう。いずれにせよ、もうすぐそこまで来ている抗加齢薬の誕生は、ドンよりムードの日本の超高齢社会に垂れ込める暗雲を一気に晴らし、日本の労働環境を激変させ、活力をもたらす可能性を秘めているといえそうだ。

 

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