
目標設定の正しい仕方<後編>
なぜ期限を設ける必要がないのか
前回、目標達成には必ずしも期限を設ける必要はないといいました。それよりも、すでに実現していると「確信する」が有効とお話ししました。
どういうことか説明します。そういう心理状態になると、明日実現してもおかしくなくなってくるので、目の前のことに取り組む集中力や気力が変わってきます。
もう少し具体的に説明しましょう。銀行貯金が0円の人が、1億円の資産を築こうと思った場合には、『今から1億円を稼ごう』ではなく、『既に私は1億円を手にしている。それを受け取るための行動を、今行っているのだ』と考えるのです。
本当にそのように考えることができると、脳が『本気モード』で働き出します。すると、実は銀行融資で不動産を購入して実現する道を発見できたり、もともと全然知らなかった実現方法や、想定していなかった実現方法が見えてくるのです。
目標達成に4年かかった理由とは
@SOHOは4年で日本No.1となりましたが、「4年」なんて考えたことは一度もありません。確かに気持ちとしては「1日でも早く」と毎日思っていました。ですから、明日達成するためには、今日はメチャクチャ頑張らないといけない。ということで、疲れていようが土日だろうが彼女がいなかろうが、ひたすらプログラムを書き続けることができ、ありえないほど会員数を増やす方法や、ありえないほど検索エンジンにヒットするようなアイディアが、次々に思い浮かんできたのです。
これが最初から『4年以内に』などと悠長に考えていたら、『今日は映画を見てもいいかな』、『今日は眠ってもいいかな』、『今日はコンパに行ってもいいかな』と自分に言い訳を繰り返し、到底達成できなかったと思います。『今日、明日実現したい』と思い続けて、結果的に4年もかかってしまったのです。
例外的に期限を設定した方が良い場合もある
例外として、期限を設定した方が効果的な場合があります。それは、経営者や政治家が、従業員や国民にビジョンを示すような場合です。『3カ年計画』『5カ年計画』と、ゆる~い目標設定をすることで、それについていかなければいけない人達は、安心するのです。
安倍首相がいきなり、『来月から消費税を10%にします!』と宣言したら、社会は混乱しますよね(苦笑)。 なので、組織のリーダーが組織に対して意思表明する時は、期限設定は効果的です。この場合でも、本人達の本心としては、『明日からでも実践したい』なのです。個人の目標設定においては、『明日から』いや、むしろ『今から』で良いのです。新年の目標を立てた方は、一度この観点から考えてみてください。
そもそも『目標』という言葉を使う時点で、心のなかでは、『達成できるかできないか五分五分』という感覚を持ってしまっているのではないでしょうか。
目標という言葉が、
・達成できるかどうかわからないもの
・達成できなくてもとくにペナルティーはないもの
というニュアンスを含んでいるからです。
多くの方が、『できたらいいな』くらいの気持ちで、社交辞令のような感覚で目標を掲げるのです。多くの方にとって、『目標=必達事項』ではないのです。多くを成し遂げている人は、目標ではなく必達事項として捉えています。必達事項というのは、本人にとって『あたり前田のクラッカー』だということです。
イチローや中田英寿が凄いプレーをしてインタビューを受けても、顔色一つ替えずに受け答えしているのは、本人にとっては『当たり前のプレー』だったからです。ナポレオンの辞書にも、不可能は無かったわけです。
【プロフィール】平城 寿 Hirajo Hisashi
1976年宮崎県生まれ。九州大学工学部卒(1999年)。もともとITエンジニアで、2004年にSOHO事業者向けビジネスマッチングサイト「@SOHO」を1人で立ち上げ、4年で日本国内No.1の会員規模にまで育て上げる。その後インターネットの可能性に魅了され、自らネットを活用した「場所や時間にとらわれないワークスタイル」を実践。2011年より海外に拠点を移し、アジアを中心に毎月5都市以上を訪問。『海外ノマドスタイル』を確立して、その魅力を発信している。
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