働き方

健康経営銘柄選定企業が実践する健康施策の気になる中身

投稿日:2015年12月22日 / by

健康経営銘柄選定企業とは

健康経営銘柄をご存じだろうか。東証の上場企業から、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践している企業を業種区分ごとに選定し、紹介するもので、経産省により、22社が選定されている。先ごろ行われた、ウェルネス経営協議会設立総会では、その内3社が、その実態を公開した。

まさに選ばれし企業といえる。業種ごとに1社しか選ばれない健康経営銘柄は、従業員の健康に関する取り組みについての調査を実施。回答のあった企業から経営理念・方針、組織・体制、制度・施策実行、評価・改善、法令順守・リスクマネジメントの5つの側面からスコアリングし、さらに財務面でのパフォーマンスのよさを評価、選定する。

左からウェルネス協議会事務局長・乗松文夫氏、第一生命人事部長友重淳二氏、リンクアンドモチベーション・川村宜主CWO、ロート製薬広報部長・河崎保徳氏、経産省ヘルスケア産業課課長補佐・藤岡雅美氏、校了賞保健局保険課・森周平氏

左からウェルネス協議会事務局長・乗松文夫氏、第一生命人事部長・友重淳二氏、リンクアンドモチベーション・川村宜主CWO、ロート製薬広報部長・河崎保徳氏、経産省ヘルスケア産業課課長補佐・藤岡雅美氏、厚労省保健局保険課・森周平氏

パネルディスカッションに登壇したのは、この内の保険業区分から選出の第一生命、サービス業区分からリンクアンドモチベーション、医薬品区分からロート製薬の3社。気になるその中身について、各社は惜しみなくその実体を披露した。

健康経営銘柄選定企業の取り組み

第一生命は、社長直轄の「DSR(第一生命の社会的役割)推進委員会」の傘下に「健康増進推進専門委員会」を設置し、健康経営を強力に推進。具体的事例として、メタボ対策における特定健診・特定保健指導の推進、さらに定期健診後の再検査受診率向上の推進により、6年前の27.2%から8割超にまで引き上げ、社員の健康増進に貢献したことなどを報告した。

リンクアンドモチベーションは、行動指針として「健康管理」を掲げ、ウェルネスマネジメントユニットを設立。CWOを中心に全社的に健康管理に取り組んでいるとし、自社ツールを活用したウェルネス状態を測るサーベイの半年に一回の実施、他社のウェルネスアプリ活用による生活習慣改善などで、社員の平均体重減少に加え、プレゼンティズムロスアブセンティズムロスともに減少させたことなどを報告した。

ロート製薬は、「健康増進100日プロジェクト」という全社参加型イベントを実施。その結果、健康水準を満たす社員の比率が開始前の36%から42%に上昇したことを報告。さらに2014年には、チーフヘルスオフィサー(CHO)を設置し、健康に関する社内外の取り組みをさらに強化する態勢を整えたことなどを明かした。

いずれの取り組みにも共通するのは、全社的であることに加え、各社員が主体的に取り組み、結果をしっかりとフィードバックしながら、PDCAを回している点だ。こうした仕組みが一度できあがると、健康管理も職場での“習慣”として自然に馴染み、形だけで終わることがなくなる。さらにいえば、互いに健康を意識し合い、普段の会話にも健康が入り込むなど、意識向上がどんどん加速する好循環が生まれる。

リングアンドモチベーションは「競争優位=モチベーション=心身の健康」捉え、健康管理に取り組んでいるが、まさに社員一人一人の心身の健康がなければ、業績の安定もない。いかに売り上げを向上するのかに知恵と労力をかけるのは大切だが、同時に社員の健康を害してしまうなら、大きな損失。そうした意識を徹底することが、健康経営が必要な理由であり、本当の意義だ。

左から乗松氏、経産省商務情報政策統括調整官・吉本豊氏、日本プロスポーツ協会会長島村宜伸氏、日本フードサービス協会元会長・大河原毅氏

左から乗松氏、経産省商務情報政策統括調整官・吉本豊氏、日本プロスポーツ協会会長島村宜伸氏、日本フードサービス協会元会長・大河原毅氏

総会では、協議会設立の目的も改めて確認されたが、そこにはウェルネス経営が社会全体にもたらす効果の実証と、そのデータの世界発信もある。社員が健康的でイキイキと輝き、モチベーション髙く働き、組織を活性化。その結果、企業を成長させる--。超高齢国家ニッポンに突き付けられた課題解決もウェルネス経営に課された重要なミッションといえる。

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