働き方

「男性の育児休暇取得の実態に迫る」(5)

投稿日:2014年5月8日 / by
GKちゃん

子育てジョーズに共通する3つの「ジョー」とは

【日本の男性育休推進の秘訣】

これまで日本の男性育休の実態とハードルについて見てきました。それでは、それでも男性である我々が育休をきちんと取得するためには、具体的にどのようにすれば良いのでしょうか。

■育休取得者に共通する「3つのジョー」

男性の育休取得者にインタビューすると、以下の「3つのジョー」が共通キーワードになっていることがわかります。

(1)パートナー、子供への愛情

育休を取得するのは、キャリアに対して相当なブランクとなると思いがちですが、30年職業人生のうちに、取得できるチャンスはたった数か月。一報、パートナーや当の子供にとっては、たった1回しかない貴重な機会なのです。

そのことをどこまで重視できるか。愛情が試されます。

(2)やむを得ない事情

男性で育休を取得している方の多くは、パートナーの方もバリバリのキャリアウーマンであったり、もしくはパートナーが男性側の育休取得を「当然」のこととしてとらえていたりします。また、何らかの事情でシングルファザーとなられている方もいます。「やむを得ない事情」ととらえて取得を開始する方もいます。

(3)ロールモデルの登場

会社の上司や友人などが育休を積極的に取られているのを目の当たりにすると、「それもありだな」目から鱗が落ちるということがあります。「あの人も取っているから」と理由も付けやすい。ロールモデルの登場です。

(2)、(3)については、自身でなんとかできるものではありませんが、積極的に知人のツテをたどったり、男性育休を推進する団体などのイベントに参加することで、(3)のロールモデルは見つかるかもしれません。

ここで皆さんにじっくり考えていただきたいのは(1)です。まさに「仕事と家庭、どっちが大事なの!?」ですね。

■めざせ3週間取得-引き継ぎの有無がハードルを決める

私自身、過去に3か月の育児休暇を取得したことがあるのですが、一番ハードルが高かった要素は、「引き継ぎ」です。

営業職として、担当するお客様を3か月間放置するわけにいかず、すべてのお客様をチームメンバーに引き継ぐ必要があったのです。お客様に対しても歯がゆかったですし、メンバーへの急な業務負担増にも心が痛みました。

更に私の場合はマネジャー職でしたので、マネジメントをするメンバーを新たに外からアサインいただく必要もありました。

また、戻ってきてから顧客を再度引き継いでもらうわけにもいかず、新規開拓をしなくてはならないというハードルもありました。

こうした数々のハードルも、引き継ぎが不要な期間であれば無くなります。長期休暇として考えたときに、2週間~3週間が妥当な線ではないでしょうか。この「引き継ぎ不要ライン」というのが、男性の育休推進をする上での当面の限界ラインになろうかとおもいます。実際にあるメーカー様では、この「3週間」という期間の合理性に共感いただき、男性の育児休暇推進の1つの指針としていただいたことがあります。(第六回へ続く)
[バックナンバー]
第一回:機能不全の日本の育メン事情
第二回:日本の男性育休取得が進まない5つの理由その1
第三回:日本の男性育休取得が進まない5つの理由その2
第四回:日本の男性育休取得が進まない5つの理由その3

◇男性の育児休暇に関する記事一覧


オンユアマーク井上氏【プロフィール】
井上幸一郎 有限会社オンユアマーク 取締役社長
2000年立教大学経済学部卒。
eラーニングベンダーにて、米国の学習管理システムのローカライズ、販売等に従事。米国民間資格の普及推進にも努める。
また、大原学園の資格対策eラーニング講座の法人販売やeラーニング管理システムの法人販売にも従事。
2005年、人事コンサルティング企業に転職し、企業研修・人事制度コンサルティングなどの営業・講師・コンサルタントなどを歴任。
2007年、3か月の育児休暇を取得。
2010年11月、「日本の人事にイノベーションを」をコンセプトに独立。
・日本ワークライフバランス研究会会員
ホームページ:http://onyourmark.r-cms.biz/

読み物コンテンツ

働き方白書について
仕事相談室について
極楽仕事術について
三者三様について
戦略的転職について
用語集について