インテリジェンスとランサーズの融合で広がるフリーランスの可能性
「人材サービス大手」と「日本最大級のクラウドソーシングサイト」が合体
(株)インテリジェンスとランサーズ(株)が業務提携した。「法人企業のIT人材不足解消」で利害関係が一致したことが、近そうで遠かった両サービスの合体につながった。「人材サービス大手」と「日本最大級のクラウドソーシングサイト」の融合は、流動化へ向かう労働市場にどんな化学反応を起こすのか…。フリーランスのステータス向上へつながる画期的な提携となる可能性を秘めるだけに、その成り行きが注目される。
インテリジェンスにランサーズの25万人のフリーランスを“開放”
今回の提携に先だち、インテリジェンスは新サービス「i-Prowork」を開始。同サービスは、特にIT業界の採用市場で人材確保が困難なプロジェクトマネジャー層(以下PM)やITコンサルタント層(以下コンサルタント)に対象を絞ってフリーランスを集め、企業に対し、PM・コンサルタントなどの重要ポジションにおけるフリーランス人材の活用提案を行うもの。人材サービス大手としての実績から、案件確保はお手のものだが、「i-Prowork」を通じて仕事を行うPM・コンサルタントが一緒にプロジェクトを動かすデザイナーやエンジニアなどの実際に手を動かすフリーランス人材の確保については、十分といえない実情がある。
一方、ランサーズには、25万人の登録があり、デザイナーやエンジニアなどのフリーランスの人材は豊富。その豊富なフリーランスを「i-Prowork」のPM・コンサルタントと一緒に働く人材として開放することが今回の提携の内容だ。同社にとっても案件は潤沢だが、フリーランスに対する企業のスタンスがまだ不十分であり、企業規模やプロジェクトの大きさという面では必ずしも安定的とはいえない。つまり、フリーランスに絞れば、「人材」と「案件」における需給のアンバランスが生じているのである。特に法人企業のIT人材では、その傾向が顕著となっている。
今回の提携により、この不均衡が大幅に解消される可能性がある。なぜなら、企業にとっては、人材サービス大手が案件窓口に立つことにより、安心してオファーができる。その結果、これまではフリーランスが扱うことが少なかった案件が、これまで以上に引き出されることが期待できるからだ。
フリーランスにおける「人材」と「案件」の不均衡是正も
インテリジェンスは、今回のITフリーランス人材活用サービスの開始について「フリーランスで働くPM/コンサルは、継続的な案件確保に苦戦している状況がある。国内では、フリーランスのキャリア支援はまだまだ未整備の状況。この点を弊社としてサポートすることでプロフェッショナル人材にとってのキャリアの可能性を広げていきたい」と話す。
一方、ランサーズは、「2017年までに、年収500万円獲得する人を1万人へ」と掲げ、フリーランスの地位を正社員並みに引き上げることを目標に、福利厚生面も充実させるなど、“新しい働き方”の実現へあらゆる可能性を追求している。人材サービス大手とのパイプ構築は、フリーランスに対する未開の扉を開くカギとなりうるだけに、この提携は、同社のミッション達成への追い風となることは間違いない。
少子高齢化やグローバリズムの進展により、企業体力が消耗する中、正社員比率はジリジリと下落している。一方で、反比例して増加する非正規比率。その中で、フリーランスの割合は増加している。ますます流動化が進む人材市場においては、それを安定的にコントロールする役割が必要となってくる。クラウドソーシングと人材サービスの合体は、その先鞭ともいえるだろう。働く=会社に所属する。人材市場に起こった化学反応は、その展開いかんでは、そうした概念の消失を加速させる可能性を十分にはらんでいる。