働き方

新しい働き方が必要な深刻な理由

投稿日:2014年7月2日 / by
日本マイクロソフト社

フレキシブルな働き方を活用する目的(日本マイクロソフト社内調査結果)

新しい働き方へのシフトが進む中、現場レベルでは過渡期の狭間できしみが出始めている。ネックとなっているのは「介護」。中高年層における親の介護が急増する中で、「働き方の変更」か「離職」かの選択を迫られるケースも珍しくなくなりつつある…。

(株)アイ・キュー(本社:東京都港区、代表取締役社長:林 城)が運営する日本最大の人事ポータルサイト『日本の人事部』( http://jinjibu.jp/ )が「HRカンファレンス2014-春-」のレポート記事の一部として公開した2人のセッション内容は、社会構造の変革を垣間見る上で生々しいものとなっている。

「これからの働き方を変えていくために~日本マイクロソフトが実践する生産性を高めた取組みとは~」のテーマで登壇した日本マイクロソフト(株) 執行役 人事本部長の佐藤 千佳氏は、同社が行った社内アンケートを公開。それによると、日中の在宅勤務経験者は4割(男性37%、女性47%)。その利用目的は、「育児、介護など家庭の理由」29%、「自宅で集中作業などの仕事の理由」31%、「その両方」35%となっている。

同社では、社員の半数がオフィスの自席以外で日常的に仕事をしており、すでに先進的なワークスタイルの導入を浸透させている。そうした中で、社員の9割が、フレキシブルな働き方は「不可欠/あるほうがよい」と答えている。利用目的は多様だが、「あるほうがいい」ということは、なければ支障があることの裏返しでもあり、柔軟な働き方の必要性の高まりを裏付ける結果といえる。

小室淑恵氏

HRカンファレンス2014で講演する小室氏

(株)ワーク・ライフバランス 代表取締役社長の小室 淑恵氏は同講演で、「介護と仕事の両立を迫られる、40~50歳代の男性社員が増加している」と指摘。ある大手企業では、昨年介護休業をとった人の7割が男性社員。また、ある有名商社では社員の15%が介護を行っているが、そのうち8割が男性社員という調査結果を明かしている。

こうした状況を踏まえ、小室氏は「会社の中核を担う40~50歳代の男性社員が、介護を行わなければならない状況が目立つようになってきた。今後企業では、社員が介護を行いながら働ける体制を整備していく必要がある」と忠告している。

瓦版でもテレワークマネジメント代表の田澤由利氏が、介護離職による“会社の危機”を指摘。「労働力が減少する高齢社会では人材流出は大きなダメージ。特に管理職世代の介護離職は深刻化する。それを回避する有力な施策が在宅勤務」と警鐘を鳴らしつつ、柔軟なワークスタイルの早急な導入を提案している。

新しい働き方といえば、生産性向上や仕事効率化に目が行きがちだが、むしろそうしたこと以上に深刻な問題が根底にはある。予測ではなく、確実に迫りくる事態だけに、後回しでは大きなしっぺ返しを受けることになる。いまからでも対策しておくことが、よりスマートでスムースであることは言うまでもない。

 

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