首都圏中小企業の女性社員約7割がオフィスに不満
社員と経営者に大きな見解の相違
女性社員の約7割がオフィスに不満--。はたらく未来研究所(所長・富岡明日香)が、首都圏の従業員数50人~500人の中小企業を対象に、20代~50代の女性社員(正社員・契約社員・派遣社員)300人および経営者300人に対し、オフィス環境、オフィス空間、オフィス活性を柱とするインターネットリサーチを実施。その結果から分かった。
人材不足が深刻化する中、働く場としてのオフィスの快適化も重要課題になりつつある。そうした中、同調査ではズバリ「経営者は女性が働きやすいオフィスを創るための経営努力をしているか」と質問。それに対し、女性社員の66.5%が「全く努力していない」もしくは「あまり努力していない」と回答した。オフィス環境を整備する動きは広がり始めているが、まだ一部の印象。それが鮮明になるような結果だ。
ところが、経営者への質問では少々趣が変わる。なんと経営者の60.5%は「とても努力している」、「まあまあ努力している」と回答した。つまり、働きやすいオフィスづくりについては、経営者と女性社員の間に大きな溝があるということだ。
立場の違いが生み出す溝
なぜこれほどのギャップが発生するのか。まず、女性が求める働きやすオフィスは、「リフレッシュスペースの充実」、「快適な空気」、「個人のスペースの広さ」といった部分。一方、経営者のそれは、「快適な空気」「オフィス内部の明るさ」、「共同のスペースの充実」であった。似ているようで違う両者の決定的な差は、女性が個人としての立場で居心地のよさを求めているのに対し、経営者は業績を重視する立場で働きやすさ(生産性の向上)を求めているということといえる。
経営者の立場を考えれば、当然の施策であり配慮でもあるが、女性はあくまで居心地が良ければ、成果もでると考えているとすれば、このギャップを埋めるのは、「より働きやすいオフィス」についての日頃からの意見交換を積極的に行うことが必要といえるだろう。これまでは軽視されがちだった項目といえるが、今後、戦力としての女性の価値が確実に高まる方向性であり、もはや無視はできない。
まだ一部ながら、大胆なオフィス改革を実施した企業は、着実に社員満足度を上げ、生産性向上も実現している。コストというよりも投資的価値は十分にあることが証明されている。さらにいえば、リモートワーク導入が容易な環境にある昨今、あえてオフィスで全員が揃って業務に取り組む必要性も薄れている。そうした中で、あえてオフィスにこだわるなら、そこで働く従業員の能力が最大化されるよう工夫することは、もはや経営者にとっても必須課題といえそうだ。